放射線に関する知識レベルが低下の傾向、消費者庁調査

2015年10月13日

 消費者庁は9月30日、岩手、宮城、福島、茨城、埼玉、千葉、東京、神奈川、愛知、大阪、兵庫の11都府県の消費者を対象に実施した食品中の放射性物質に関する意識調査結果を発表した。今回、8月11~17日に実施した調査は、2013年2月の初回から数えて6回目で、インターネットを通じおよそ5,000人から回答を得た。
 それによると、放射線の種類、単位、「外部被ばく」や「内部被ばく」の意味など、放射線の基礎的な知識や人体影響についての理解を問う設問では、「知っている」との回答がほとんどの選択肢で減少し、「知っているものは特にない」との回答が増加した。特に、人体影響に関する知識では、知っているものは特にない」との回答が、過去5回の調査を大幅に上回る35.2%に達していた。
 低線量の放射線によるリスクの受け止め方に関しては、「一定のリスクを受け入れられる」と回答した人が減少、「基準値以内であっても小さなリスクでも受け入れられない」との回答は微増し、「十分な情報がないためリスクを考えられない」と回答した人が過去5回の調査で最高の31.1%となった。
 食品の購入に際しての意識では、産地を「気にする」または「どちらかといえば気にする」と回答した人は合わせてほぼ横ばいで67.1%、そのうち、食品中の放射性物質を気にするという人もほぼ横ばいで全体の21.5%だった。また、産地を気にする理由で最も多かったのは「品質(味)」で、次いで「価格」、「鮮度」、「放射性物質の含まれていない食品を買いたい」となった。初回調査では、「放射性物質の含まれていない食品を買いたい」が最も多い理由だった。
 基準値や出荷制限に関する意識・理解では、「基準値以内であってもできるだけ放射性物質の含有量が低いものを食べたい」という人がやや減少し、一方で、「基準値はもっと厳しくするべきだ」と回答した人が増加した。また、「基準値を超える食品が確認された市町村では、同一品目の食品が出荷・流通・消費されないようにしている」ことを知っている人は減少し45.2%、「検査が行われていることを知らない」と回答した人は、過去5回の調査を大幅に上回る34.7%に達した。
 また、食品を購入する際に重視することについて尋ねると(複数回答可)、「価格」(63.8%)、「品質(味)」(61.1%)、「鮮度」(60.2%)の順に回答が多かった。