エネ研、「アジア/世界エネルギーアウトルック2015」を発表

2015年10月23日

 日本エネルギー経済研究所は10月20日、研究報告「アジア/世界エネルギーアウトルック2015」を発表した。
 それによると、基準となる「レファレンスケース」で、世界の一次エネルギー需要は、アジア新興国を中心に年平均1.3%で増加し、2013年の13,555メガトン(石油換算)から、2040年には18,963メガトン(同)にまで拡大するほか、石油は変わらず最大のエネルギー源で、これに次ぐ天然ガス、石炭を合わせると、化石燃料のシェアは78%を占め、その結果、CO2排出も増大し2013年の329億トンから2040年には427億トンに達するとの見通しだ。
 また、発電では、火力中心(7割弱)の電源構成が維持され、石炭火力はシェアが低下する一方、天然ガス火力は拡大し、原子力、再生可能エネルギーは、それぞれ現状程度の構成比で推移するとしている。そのうち、原子力による発電量は、2013年の2,478T(テラ、10の12乗)Whから、2040年には4,321TWhとなるが、全体の発電量に占める構成比は現在の11%と変わらず、設備容量では、2020年代に全停止となるドイツや、日本など7か国・地域で減少するものの、新規導入する13か国を含めた32か国で増加することで、2013年の389G(ギガ、10の9乗)Wから2040年に610GWまで拡大すると分析している。
 今回の研究報告では、 原油価格の先行き不透明性や、CO2排出に伴う気候変動への関心の高まりをとらえ、「レファレンスケース」の他、省エネ・低炭素技術が最大限導入される「技術進展ケース」と、さらに非在来型資源の開発促進も加わる「低価格ケース」を設定し、分析を行っている。「レファレンスケース」では、世界のエネルギー起源CO2排出は、2050年に2013年より39%多い459億トンに達するが、「技術進展ケース」にCO2回収・貯留(CCS)を加味すると、現在より29%少ない233億トンまで削減されると試算している。そのうち、CO2削減のポテンシャルは、省エネが最も大きく総削減量の36%、次いでCCSの32%、太陽光・風力等の14%、原子力の11%となっている。「技術進展ケース」では、2040年の世界の原子力発電設備容量は868GWとなり、そのうちのほぼ半分を中国、インドを中心とするアジア諸国が占める。