基本的考え方ヒア 岡原子力委員長 原子力人材の「継続教育」盛り込むべき
原子力委員会では10月20日と27日、原子力利用の「基本的考え方」について議論を行った。これまで有識者のヒアリングを行ってきたが、今回は岡芳明原子力委員長をはじめとして各委員が自身の意見を述べた。
岡委員長は、日本人の特性として、国や組織への依存性があることや面と向かってはっきり言わない恥の文化があることなどが、事故の原因の背景に存在するとして、意識的に改善することが大切だとした。規制に関しては、公衆を守るという観点から万が一の際に国民の健康に及ぼす影響が大きい事象についてはきちんと審査すべきだが、他の細かい事象に関しては民間に任せてよいとの考えを示した。原子力への理解促進については、国民が腑に落ちるためには情報を押し付けるのではなく国民がいろいろな情報の中から自分で判断できるようにすることが大切だが、日本はまだこの状態にないことを指摘した。また、原子力技術者の説明は社会的または経済的な合理性に対する視点が欠けている場合があり、理解のプロセスとギャップがあってうまくいってないことにも触れた。人材育成においては、大学などの研究研修機関における一般教育と就職後の継続教育があるが、後者はなかなか取り上げられないことを憂慮した。
中西友子委員は、各省庁に蓄積された知見をオールジャパンとして一体化してとらえていくべきとした。放射線を利用した様々な製品が身近にあふれていることなどももっと広く知られてほしいとの希望を述べた。またプルトニウムや使用済み燃料などに関し諸外国との関係についても触れるべきとした。さらに除染のやり方についても記述したいとした。
阿部信泰委員は、福島第一原子力発電所事故が起きた要因は日本の文化によるものということは各種事故報告書で報告されており、国民は「ではどうすればいいのか」という点を知りたがっていると述べた。また、日本国内で原子炉を製造していない一方で、各国が製造技術を高めてきていることに懸念を示した。