東北大学、マンモグラフィに超音波を加えることで早期乳がんの発見率が約1.5倍に

2015年11月6日

 東北大学の研究グループは11月5日、国内のおよそ76,200人の女性から協力を得て、「ランダム化比較試験」(RCT)と呼ばれる手法を用いた調査研究により、マンモグラフィに超音波を加えることで、早期乳がんの発見率が約1.5倍になるなどの結果が得られたと発表した。マンモグラフィは、乳がんの早期発見に用いられている検診方法だが、検査時に痛みを伴うほか、50歳以上に有効とされていることから、若年層における検診での乳房超音波検査の有効性を検証する目的で、り患のピークを迎えつつある40歳代の女性を対象とした大規模なRCTを実施したもの。
 本調査は、2007年7月から2011年3月にかけて、76,196人の女性に参加同意を得て、1対1の割合で、マンモグラフィに加えて超音波検査を実施するグループ(介入群)と、通常のマンモグラフィ検診を実施するグループ(コントロール群)との2群にランダムに割り振り、それぞれの検査方法で、初回とその2年後の検診を行うという設計だ。
 調査結果によると、発見がんのステージ別評価では、ステージⅡまたはⅢ以上の発見がん数は、介入群とコントロール群で差は見られず、超音波検査は、ステージゼロまたはⅠのがんの発見に寄与していることがわかった。一方で、介入群では、要精密検査率が優位に上昇し(12.6%対8.8%)、それに伴い侵襲的な追加検査(針生検等)の施行数も増加するなど、検診の不利益も増加していたことから、超音波検診導入による利益と不利益との相対バランスも検討する必要があるとしている。