基本的考え方ヒア 森本氏「再処理施設とプルサーマル炉の稼働不可欠」

2015年11月6日

DSCF5045 原子力委員会は11月5日、元防衛相で安全保障スペシャリストの森本敏拓殖大学特任教授から原子力利用の「基本的考え方」についてヒアリングを行った。
 まず、日本が原子力を一定比率維持することは、エネルギー安全保障や化石燃料入手の取引上からも、コストや資源備蓄、国家の抑止機能維持などの観点からも政策手段として必須であると指摘した。
 特にエネルギー安全保障面に関しては、中東・湾岸およびロシアなどの地域、ホルムズ・マラッカ・スンダ・ロンボク海峡などのチョークポイント、南シナ海・インド洋における海上輸送路での昨今の不安定化を挙げ、安定的な燃料確保に強い懸念を示した。これには日米豪、日米印の緊密な協力を通じてアセアン地域での広域的な協力を促すことが必要だとした。
 2018年7月に期限を迎える日米原子力協定については、自然な形での自動更新が望ましいとし、そのためには原子力協定の趣旨が活きるよう再処理施設とプルサーマル炉を稼働させて、濃縮やプルトニウムバランスについてのネガティブキャンペーンに注意することが重要だとした。
 さらに原子力人材の育成と高度な技術の維持についても鋭意努力する必要があり、そのためにも日米協力を一層進展させることが不可欠だとした。
 阿部信泰委員は再処理工場などと抑止力を関連づけて語ることについて強い危惧を示したが、森本氏は「抑止力とは相手がどう考えるかの問題」であるとして、日本が一定のレベルを維持することは国益だと語った。
 中西友子委員からの、輸送路などの外的な危機に加えてうつ病のパイロットによる飛行機事故の例など内なる危機も留意すべきとの意見については、全くその通りと同意。日本で対策が遅れている分野の1つであるとして、米国での兵器取扱者を常時監視するシステム例を紹介するとともに、日本の自衛隊でも厳密なメンタルケアを行っていることを述べた。