電事連「使用済み燃料対策推進計画」、2030年頃までに  6,000トン程度の貯蔵対策目指す

2015年11月24日

 電気事業連合会は11月20日、原子力発電所を有する電力各社の使用済み燃料対策方針を「使用済み燃料対策推進計画」として取りまとめ、政府と事業者による「使用済み燃料対策推進協議会」で説明した。原子力発電所の再稼働や廃炉進展に伴う使用済み燃料の発生増、高レベル放射性廃棄物最終処分に向けた取組の長期化などに鑑み、政府の最終処分関係閣僚会議が10月に策定した「使用済み燃料対策に関するアクションプラン」に基づき、事業者全体として、2030年頃までに6,000トン程度の使用済み燃料貯蔵対策を目指すとしている。
 このほど取りまとめられた「使用済み燃料対策推進計画」では、基本的考え方として、使用済み燃料については、現在新規制基準に係る審査が途上となっている六ヶ所再処理工場への搬出を前提とし、それまでの間、各発電所において、安全を確保しながら計画的に貯蔵対策を進めているところ、引き続き敷地内外を問わず、使用済み燃料の貯蔵能力の拡大を図っていくとしている。
 各社では、現在の原子力発電所の安全審査状況を踏まえ、今後発生する使用済み燃料の見通しに不確実性が伴うものの、使用済み燃料対策に万全を期す考えから、最大限の可能性を想定した試算を行っており、リラッキングや乾式貯蔵設備の設置なども含めたあらゆる対策を講じることで、事業者全体として、2020年頃に4,000トン程度、2030年頃に2,000トン程度、合わせて6,000トン程度の使用済み燃料貯蔵対策を目指す。
 東京電力と日本原子力発電が使用済み燃料を搬出することとしている中間貯蔵施設(むつ市)は、現在、2016年度の事業開始予定で建設中となっているが、関西電力でも、福井県外での中間貯蔵について、理解活動や可能性調査を進め、2020年頃に計画地点を確定し、2030年頃に2,000トン規模で操業開始する計画を公表した。また、乾式貯蔵施設については、中部電力で2018年の使用開始を目指し建設計画が具体化されているほか、他電力でも将来的に検討することとしている。
 これら各社の対策を踏まえ、電事連では、運転中の原子力発電所を有する電力10社の社長で構成する「使用済み燃料対策推進連絡協議会」を設置し、使用済み燃料の貯蔵能力拡大に向け、技術的課題や理解活動の強化に資する検討を開始した。また、六ヶ所再処理工場とMOX燃料工場のしゅん工時期がともに延期されたところ、プルサーマル計画については、「全国の16~18基の原子炉で導入を目指す」という方針に変わりはないものの、2009年に公表した「2015年度までに」との時期は、原子力発電所の審査状況などを踏まえ、改めて検討することとしている。