東京電力、柏崎刈羽6、7号機へのIAEA/OSART報告書・対応状況を発表

2015年12月11日

 東京電力は12月10日、IAEAの調査団が6、7月に柏崎刈羽原子力発電所6、7号機を対象に実施した運転安全評価レビュー(OSART)の報告書と、それに伴う指摘事項への対応について発表した。
 IAEA/OSARTは、世界の原子力発電所の安全性向上を図るため、IAEAおよび各国の専門家で組織する調査団が発電所に駐在し、運転安全に関連する活動状況を詳しく調査するもので、今回の調査団受入れは、1月に行われた宮沢経済産業相と天野IAEA事務局長との会談で、福島第一原子力発電所事故を踏まえた安全性向上の取組を世界で共有していくという観点から合意された。柏崎刈羽原子力発電所では、2004年と2006年(フォローアップ)にもOSART受入れの実績がある。
 今回のOSARTレビューでは、(1)安全のためのリーダーシップとマネジメント、(2)訓練と認定、(3)運転、(4)保守および技術支援、(5)運転経験のフィードバックに関する確認事項、(6)放射線防護、(7)緊急時計画と対策、(8)シビアアクシデント対策――の各分野について、改善を促す「推奨」と「提案」、他社への展開も期待できる「良好事例」といった評価を与えている。
 より良い方法を指摘する「推奨」の事例では、「安全手袋や安全帯の装備方法についてさらなる周知・徹底が望まれる」、「事故に至らないミスについて情報の集約や分析が十分ではない」があげられており、東京電力では、それぞれルールの明確化、現場パトロールの充実化などを進めている。
 一方、「良好事例」では、緊急時対応組織の集中的な訓練プログラムがあげられており、発電所内で毎月実施されている訓練について、体系的に広範囲な過酷状態や複雑な課題を扱った演習シナリオや、所員の参加率の高いことなどが評価されている。
 OSARTによる報告書について、東京電力では、「IAEA基準や国際的知見を踏まえて実施された」ものと受け止め、今後、レビュー内容を着実に対策に活かし、引き続き、フォローアップレビューにより改善状況について評価を受けることとしている。