規制委員会、廃炉で発生する廃棄物埋設に関する規制基準の考え方取りまとめ

2015年12月11日

 原子力規制委員会の検討チームは12月10日、原子力発電所の廃炉に伴い発生する廃棄物の埋設に関する規制基準の考え方を取りまとめた。これを踏まえ今後、規制基準の整備に向け検討を行う。
 原子力発電所の廃止措置および運転に伴い、比較的放射能濃度が高い炉内構造物などの廃棄物は、BWRで約9,000トン、PWRで約7,000トンにのぼるが、これら炉内等廃棄物に含まれる核種の種類は、既に行われている浅地中処分の対象廃棄物と大きく変わらない一方、地層処分を行う高レベル放射性廃棄物と異なり、主にアルファ線を放出する核種をほとんど含まない。また、放射能濃度は、高レベル放射性廃棄物に比べて低いものの、半減期が数百年を超えるような核種の濃度は浅地中処分の対象廃棄物に比べると数桁高いなど、炉内等廃棄物は、地層処分と浅地中処分の両方の対象廃棄物の特徴を併せ持っている。
 これらを踏まえ、今回の考え方では、規制要求検討の前提として、炉内等廃棄物の処分に関し、数万年を超える長期間にわたって放射線障害によるリスクから公衆の生活環境を防護するものとし、埋設深度は浅地中処分よりも深いが地層処分ほどの深さは必要としない「中深度処分」という処分概念を示した。「中深度処分」で、埋設事業者が受ける規制の期間は、核種の漏出や防護上の問題を生じる兆候がないことを確認した上で終了するものとし、処分場の立地が確定後、審査(事業申請~事業許可)、建設、埋設、坑道埋戻し、保全、廃止措置の段階に分かれ、事業開始後、全体で300~400年程度とみている。
 設計要求としては、炉内等廃棄物に含まれる放射能の大部分が減衰し、潜在的に残る人への影響がピット処分の規制期間終了時と同レベルとなる10万年間は、火山活動や断層活動などの影響が及ばない区域に設置し、深度は人間侵入防止の観点から70メートルを確保するものとしている。