メーカー3社の技術結集、福島第一原子炉建屋2・3階部分に対応する「上部階除染装置」開発

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「上部階除染装置」の開発ⓒIRID

 国際廃炉研究開発機構(IRID)は、福島第一原子力発電所の原子炉建屋2・3階部分を除染するためのロボット「上部階除染装置」を12月16日、報道関係者に公開した。東京電力からの現場情報とニーズに基づき、三菱重工業、日立GEニュークリア・エナジー、東芝の3社が連携し、「複数の除染技術を共通のロボットに搭載でき、上部階にアクセスし作業できるシステム」を概念に開発を進めてきたもの。
 原子炉建屋2・3階で除染を行う「上部階除染装置」の開発に際しては、(1)昇降リフタに搭載可能な寸法・重量とする必要、(2)各除染装置が適用できる共通のアクセスシステムが合理的――といった課題があった。これらに応えるべく今回のシステムでは、吸引、ブラスト、ドライアイスブラスト、高圧水ジェットの各除染方式により異なる除染ユニット(研削材の噴射などを行う装置)に対応できるよう台車を共用化し、先頭で除染作業を行う作業台車の他、搬送/支援台車(除染ユニットを搭載・搬送)、中継台車(動力、通信)など、各機能を台車連結する方式を採用している。共用台車、除染ユニットはメーカー3社が分担、遠隔操作技術については大学研究室に委託して開発が行われた。
 IRIDでは、9月より実機を模擬したモックアップ設備を用いて実証試験を重ね、遠隔でのロボットの操作性や走行性、除染性能や故障時の対応などについて確認しており、今後、得られた知見を装置の改良に反映させ、2016年度以降の現場投入に向け準備を進めていくこととしている。