八木電事連会長「着実な前進が図られた1年」2015年を振り返る

2015年12月21日

 八木誠電気事業連合会(電事連)会長は12月18日の定例会見で、「電気事業を巡る今年1年」として2015年を振り返った。
 総括として、依然として厳しい状況が続いている中にも、原子力発電所の再稼働やエネルギー政策などの面で「着実な前進が図られた1年であった」と語った。川内原子力発電所1・2号機の営業運転再開について「新規制基準への適合性確認を経て、初めて営業運転を再開したことは大変意義深い」としたほか、高浜発電所3・4号機の工事計画および保安規定認可受領や、伊方発電所3号機の原子炉設置変更許可受領などの適合性確認審査対応の進捗にも触れた。一方で、依然として需給は予断を許さないとして、引き続き最大限の取り組みを進めるとした。
 7月に決定した2030年度におけるエネルギーミックスについては、原子力で確保すべき一定の規模が明示されたことを「大変意義のあるもの」と述べた。また、電気事業者と新電力有志で、低炭素社会実現に向けた新たな自主的枠組みを構築するとともに、「電気事業における低炭素社会実行計画」を策定したことにも触れ、現在この枠組みにおいて、目標達成のための具体的な組織形態や規約、運営細則の整備に向けた協議を続けていると報告した。
 6月の発送電分離に係る改正電気事業法成立や、3月の廃炉を円滑に推進するための会計制度の見直しなど、電力システム改革および原子力事業環境整備を巡る動きについても言及し、「引き続き日本原燃を支え、これまでに蓄積された技術や人材、設備などを最大限に活かしながら、原子燃料サイクルの実現に向けて取り組む」と決意を新たにした。
 2016年に向けては、4月1日から小売全面自由化がスタートして電気事業が「大きな変革期」を迎えるとして準備に万全を期すとともに、ベースロード電源である原子力については、引き続き適合性確認審査に真摯に対応し、一日も早い再稼働を目指すと強調した。
 なお同日の最終処分関係閣僚会議で国が「2016年中の科学的有望地の提示を目指す」との方針を示したことについて、高レベル放射性廃棄物の最終処分地選定に向けて着実に前進していくという国の姿勢の表れと受け止めたとし、廃棄物の発生者として感謝を述べた。