原子力機構他、トンネル検査の効率化につながるレーザー計測技術開発

2016年1月12日

LASER

「レーザー欠陥検出法」イメージ図ⓒJAEA

 日本原子力研究開発機構、理化学研究所他による合同研究グループは1月11日、コンクリート内部の外からは見えないひび割れなどの欠陥をレーザーにより検出する「レーザー欠陥検出法」と呼ばれる技術を、従来の50倍の速さにまで高速化することに成功したと発表した。原子力機構の高速動作可能な光増幅器の開発などにより実現したもので、高度経済成長期に数多く建設されたトンネルや橋梁などの社会インフラの老朽化が懸念されるところ、作業に危険が伴い時間を要していた打音法による検査に替わり、遠隔・非接触の新たな手法確立につながることが期待される。
 「レーザー欠陥検出法」は、強いレーザー光を照射することで表面に振動を与え、その振動を別のレーザー光で詳細に調べることでコンクリート内部の欠陥を検出する方法で、機械的な打音法ではハンマーの役割をする「振動励起レーザー」と、音色を聴き分ける検査員の耳となる「レーザー計測システム」(計測用レーザー)から構成されている。既にJR西日本などにより実証されている手法だが、2秒に1回の計測速度にとどまっていたため、さらなる効率化が望まれていた。
 合同研究グループでは、「高速動作が可能な振動励起レーザーの開発」を原子力機構が、一方で、コンクリート壁を素早くスキャンし振動を計測する「高速掃引レーザー計測システム」の開発をレーザー総研がそれぞれ担当した。「振動励起レーザー」は、打音法におけるハンマーと同様にコンクリート表面を叩き振動させる役割をするのだが、高速動作に伴う熱の影響によりレーザー光の品質が低下するという課題があったため、水冷機構を組み込んだ光増幅器を新たに開発するとともに、レーザー光の品質低下を抑制する工学配置を新規に設計することで、従来の50倍となる1秒間に25回の検査が可能な「高速掃引レーザー欠陥検出装置」の開発に成功した。