イランの核問題に関する最終合意履行の日到来

2016年1月18日

 M.J.ザリーフ・イラン外相とF.モゲリーニEU外務・安全保障政策上級代表兼欧州委員会副委員長は1月16日(日本時間17日)、イランの核問題に関する最終合意(包括的共同作業計画:JCPOA)が「履行の日」に至ったことをウィーンで発表した。合意から6カ月を経て、国際原子力機関(IAEA)はイランがJCPOAに示された核関連の約束を実行していることを確認し、イランがその約束を果たしたことを受けて同国の核計画に関する多国間および個別国の経済・金融制裁が解除された。
 両者は「今回の偉業は、政治的意思と根気を持ち、多極的外交を通して、最も難しい問題を解決し、効果的に実施される現実的な解決法を見つけ出すことが可能であることを明確に示している」として、世界をより安全な場所にしようとする努力の中で、国際社会が念頭に置くべき励みとなる強力なメッセージであるとの共同声明を発表した。
 履行の日を迎えたことについて、日本政府は、交渉当事国およびIAEAの尽力により、最終合意が履行の段階に至ったことを歓迎するとともに、監視・検証を担うIAEAの活動を含め、その履行を積極的に支援し、安保理決議第2231号の規定に基づく措置を速やかに実施するとした。
 岸田文雄外相は同日、国際核不拡散体制の強化と中東地域の安定のためには、最終合意が今後も継続して遵守されることが不可欠であるとして、この進展を契機に日本とイランの伝統的友好関係を一層強化していくとともに、最終合意の着実な履行に積極的に協力し、イランが地域・国際社会との信頼醸成を進め、中東地域の平和と安定の実現に向け、一層の役割を果たすよう後押しするとの談話を発表した。