福井県と関西電力など、廃炉に関する協定締結

2016年2月12日

 福井県内に立地する原子力発電所の廃炉に関し、関西電力、日本原子力発電、日本原子力研究開発機構、県、美浜町、敦賀市は2月10日、安全確保、環境保全、地域振興に係る諸対策の継続的実施に向け協定を締結した。
 協定は、3事業者それぞれと福井県との間の他に、関西電力と美浜1、2号機(2015年4月運転終了)を立地する美浜町との間、原電と敦賀1号機(同)を立地する敦賀市との間、原子力機構と新型転換炉「ふげん」(2003年3月運転終了、現、原子炉廃止措置研究開発センター)を立地する敦賀市との間で締結された。
 各協定では、事業者に対し、廃炉に伴い発生する解体廃棄物、粉じん、廃液などの放射性廃棄物の発生量低減を図るとともに、放射能汚染の程度に応じ区分保管、減容を行った上で、計画的に搬出するよう、適切な処理がなされることを求めている。また、地域振興策に関しては、地元企業、大学、研究機関とも連携し、廃炉に関する研究開発や人材育成を進め、地元雇用の促進を図るほか、プラントの廃止措置計画の実施状況や安全対策について、地域住民の理解が深まるよう継続的な広報活動に努めるものとしている。
 県内に多くの高経年炉を立地する福井県では、原子力発電の安全対策だけでなく、放射性廃棄物の処分、プラントの廃止措置、リプレースなど、様々な課題について対応が必要となることから、2014年8月に、海外視察も踏まえ、廃炉・新電源対策に関する内外調査報告書を公表した。
 エネルギー基本計画に掲げる原子力依存度低減の方向性から、2015年4月、敦賀1号機、美浜1、2号機の他、中国電力島根1号機、九州電力玄海1号機も運転終了となっており、今後もこうした廃炉に伴う廃棄物管理の適切な実施、地域振興などに関して、立地地域と国、事業者との協議がさらに進むことが考えられる。四国電力伊方発電所を立地する愛媛県の中村時広知事は2015年、3号機再開に際しての国に対する要望事項の中で、同1号機の法令に基づく運転期限(2017年9月)が近付いていることをとらえ、同所における廃炉技術研究を検討することを求めている。