福島第一、陸側遮水壁の凍結始まる

SHASUIHEKI

ⓒ東京電力

 東京電力は3月31日、福島第一原子力発電所廃止措置の月例報告を行った。
 汚染水対策では、30日に原子力規制委員会より実施計画(第1段階)が認可された1~4号機を取り囲む陸側遮水壁(凍土壁)で31日11時20分、全30台ある冷凍機の1台目のスイッチが入れられ、海側と山側一部の凍結が始まった(=写真)。陸側遮水壁の運用に当たっては、安全第一に着実に水位管理を行い、続く第2、3段階への移行に必要なデータを収集し評価していくとしている。
 燃料デブリ取り出しに向けて開発が進められている宇宙線ミュオンによる原子炉内調査(透過法ミュオン測定)では、1号機での有効性確認を受け、3月22日より、新たに開発された小型装置を用いて2号機での調査が始まった。1号機の調査では原子炉圧力容器底部が測定視野外となっていたが、今回の2号機調査では全体が測定範囲に捉えられる見込みだ。
 また、廃棄物対策では、構内に一時保管されている使用済み保護衣などを処理する雑固体焼却設備が試運転を終え、3月18日に本格運用を開始した。廃棄物を焼却した後に発生する排ガスは、フィルタを通して放射性物質を取り除いた後、排気筒から放出するが、連続測定する排ガス中の放射性物質量に異常が検知された場合は、自動的に焼却炉が停止する仕組みとなっている。
 福島第一の廃炉・汚染水対策に関し、顕著な功績をあげた関係企業への敬意・賞賛として、経済産業省は、4つの作業チームへの感謝状授与を3月31日までに決定した。最も名誉な「内閣総理大臣感謝状」は、2、3号機海水配管トレンチ内部閉塞工事に従事した鹿島建設とカジマ・リノベイトに贈られることとなった。この作業では、トレンチ内部を長距離(最長85m)流動し水中でも材料分離しない新たなセメント系充てん材を開発したほか、高線量下においても、遮蔽の工夫により作業員の被ばく低減を図った。感謝状授与式は、廃炉に関して国内外の専門家が集まる「福島第一廃炉国際フォーラム」(4月10、11日、いわき市)で行われる運びだ。