京大と近大の原子炉が新規制基準適合性審査で設置変更許可、試験研究炉では初

2016年5月11日

 原子力規制委員会は5月11日の定例会議で、京都大学の臨界実験装置「KUCA」と近畿大学の研究炉「UTR-KINKI」について、新規制基準適合性審査に係る原子炉設置変更許可を決定した。試験研究炉では初めてとなる。
 2基とも2014年に規制委に審査が申請された後、専門家による審査会合を経て、2016年4月に合格とする「審査書案」が原子力委員会および文部科学省へ諮問されていたが、このほど両者の同意が得られ原子炉設置変更許可となった。
 この他に試験研究炉では現在、京都大学の「KUR」、日本原子力研究開発機構の「JRR-3」など、計6基について新規制基準適合性に係る審査が進められているが、既に2年間以上全基停止となっており、産業利用や原子力分野の人材育成・研究開発などへ影響が及ぶ懸念から、早期の再稼働が求められている。
 研究炉は原子力発電プラントと比べ出力が小さく構造や用途が多様なことから、規制委員会の田中俊一委員長は11日の定例会議で、今後の審査の進捗に向けて、リスクの大きさに応じた対処を求める「グレーデッドアプローチ」について、合理的な考え方を整理していく方針を示した。
KENKYURO