東北大学が研究成果発表、避難指示区域家屋内の汚染レベルと距離に相関

2016年6月6日

 東北大学の研究グループはこのほど、福島の避難指示区域にある家屋の実態調査により、放射性セシウムによる汚染レベルが、大熊町、双葉町、富岡町の原子力発電所に近い住家では、距離の2乗に反比例しているなどとする研究成果を発表した。
 本研究成果は、同学薬学研究科ラジオアイソトープ研究教育センターによるもので、「今後の住民帰還に当たって屋内汚染の状況を知ることは重要」との考えから、2013年7月~2015年1月に、飯舘村、南相馬市小高区、双葉町、大熊町、富岡町の避難指示区域の95軒の住家で、部屋、屋根裏、柱の表面汚染を乾式スミア(拭き取り)法によって、2,653の試料をサンプリングし、屋内汚染の評価を行った。
 その結果、地域ごとに表面汚染密度(ベクレル/平方cm)の分布をみると、原子力発電所から離れた飯舘村では0.01ベクレル/平方cm未満の低い数値に分布しているが、大熊町、双葉町、富岡町の発電所に近い住家では、高い数値にまで分布が広がっており、汚染レベルは距離の2乗に反比例していることが示された。一方、屋外・屋内の空間線量率には、距離との相関関係は認められなかった。これについて、本研究では、日本の木造家屋は風通しが良いため、放射性プルーム(気体状または粒子状の物質を含んだ空気の一団)が通過する際、住家への空気の入り込みによって、屋内に乾性沈着が生じたものと説明している。