原賠制度専門部会 原子力事業者の責任範囲などについて議論進める

2016年6月21日

DSCF6382 原子力委員会の原子力損害賠償専門部会が6月21日、開催された。前回に引き続き、これまでの議論を踏まえて原子力損害賠償の制度の在り方および被害者救済の在り方の方向性・論点の整理を行った。
 責任の範囲について、山口彰委員は、国は不当なリスクがあると認めた場合には原子力発電所を停止する権限もあり、一定規模の原子力発電を維持する方針も示しているとして、原子力発電事業者にとって予見性は必要であり、安全への投資に対するインセンティブを高めるような仕組みが大切だと主張した。原子力事業者の法的整理について、住田裕子委員は、電力自由化の中では電力会社の破綻もあり得るため、国民の安心につなげるという面でも制度として組み立てることは重要だが、事故の性質によって賠償内容はさまざまであり、一律で限度額を決めるのは無理があると述べた。
 被害者救済手続きに求められる機能・役割について、オブザーバーの馬場利彦全国農業協同組合中央会参事兼営農・経済改革推進部長が、今も福島の農家では被害が続いており不安も解消されていないことに触れ、具体的な基準を定めて迅速かつ適切な救済につなげていくことを求めた。
 次回は引き続き論点整理を行った後、具体的な論点について意見を交換していく。