原電と日立が英ホライズン社と協定、ウィルヴァ・ニューウィッド原子力プロジェクトを推進
日立製作所の子会社で、英国の原子力発電事業会社であるホライズン・ニュークリア・パワー社と、日本原子力発電、日立製作所は7月7日、ホライズン社が2020年代前半の運転開始を目指し、アングルシー島のウィルヴァ・ニューウィッドで開発を進めているABWRの新規建設プロジェクトに関し、許認可段階における協力協定を締結したと発表した。今後、本協定に基づき、3社は、原子力発電のパイオニアとして原電が培ってきた経験やノウハウを活かして、ウィルヴァ・ニューウィッドにおける原子力発電所の建設費評価や、EPC(設計・調達・建設)契約締結に向けた作業、サイトライセンス、ssPCSR(建設前安全性影響評価報告書)を含む許認可取得、試運転の計画、運転開始後の各種メンテナンス計画の策定などを進めていく。
ホライズン社と日立は、ホライズン社初のプロジェクトとなるウィルヴァ・ニューウィッドの原子力発電所建設において、サイトライセンスを含むすべての許認可を、2018年までに英国政府から取得し、2019年までに着工、2020年代前半の初号機運転開始を目指している。プラント建設でホライズン社は5月に、日立、ベクテル、日揮で構成される国際的なコンソーシアム「メンター・ニューウィッド」をEPC契約締結までのエンジニアリング業務を遂行するサプライヤーとして指名するなど、着実にプロジェクトを進捗させている。建設工事準備では、近隣海底での詳細な調査が、地質工学の専門企業チームにより開始されたところだ。また、英国初となるABWRの技術認可については、英国原子力規制庁(ONR)による包括的設計審査(GDA)の手続きが、2017年末の完了に向けて順調に進められている。
一方、原電は、原子力発電のパイオニアとして、日本で初めての商業用原子力発電所の建設、運転、廃止措置に取り組んできたほか、海外事業についても、ベトナムやカザフスタンなどの新興国に対し、原子力発電の導入に向けた技術支援や人材育成支援を行っている。原電の協力を通じ、ホライズン社と日立は、日本での経験と実績を反映することにより、英国500万世帯へ安全に電力を供給する低炭素電源であるウィルヴァ・ニューウィッド原子力発電所の新設プロジェクトを、さらに加速させていくとしている。
今回の協定締結に際し、ホライズン社のダンカン・ホーソーンCEOは「プロジェクトを推進していくことに対する強いシグナルだ」と、原電の村松衛社長は「経験やそこから得たノウハウを活かして着実に原子力発電所が建設できるように、このプロジェクトを支援していく」と、日立原子力ビジネスユニットの長澤克己CEOは「新規原子力発電所建設を大きく前進させるものになるだろう」などと、それぞれ期待、抱負を述べている。