原子力機構、「もんじゅ」の早期運転再開を目指し報告書
日本原子力研究開発機構は8月18日、「もんじゅ」の保守管理上の不備を受けて原子力規制委員会より発せられた保安措置命令について、「未点検機器の存在などの法令違反状態は是正され、計画的に保守管理、品質保証活動を実施し、改善を継続していく基盤が構築された」とする報告書を同委に提出した。原子力機構は2013年5月に、規制委員会より、(1)未点検機器の点検完了・保全計画の見直し・完了までの運転再開準備禁止、(2)安全最優先の組織再構築に向け保安規定の変更――を旨とする保安措置命令を受け、直近では2014年末に対応状況を取りまとめた報告書を同委に提出し改善作業に取り組んできたが、保安検査で「違反」判定が続いており、電力とメーカーとの協力の下、取組を加速した上での活動成果や、今後の改善の進め方を盛り込んだ改訂版報告書を提出したもの。
原子力機構では昨秋以来、民間企業出身の児玉敏雄理事長の視点から、機構内メンバーに加え、設計製作ノウハウを有するメーカー、運転・保守に関する経験とスキルを有する電力など、民間の知恵を結集したオールジャパン体制で、「もんじゅ」に潜在する課題の洗い出しと対策の加速化に取り組んできた。今回の報告書では、こうしたオールジャパン体制による短期集中チームの活動結果として、2016年4月までにすべての機器点検を終了したことなどを述べており、原子力機構では今後、安全確保に万全を期し「もんじゅ」の早期運転再開を目指すとしている。
「もんじゅ」を巡っては、1995年12月のナトリウム漏えい事故の後、2010年5月の性能試験再開を挟んで、同年8月の炉内中継装置落下と、2度にわたるトラブルに加え、保守管理不備の頻発により長期停止の状態となっているほか、原子力機構を所管する文部科学省では、2015年11月に規制委員会から機構に代わる運営主体を特定するよう勧告を受けており、現在、対応を急いでいるという状況だ。