原子力委放射性廃棄物専門部会 JAEA幌延深地層研究センター視察

2016年8月26日

 HORONOBE原子力委員会の放射性廃棄物専門部会は8月26日、地層処分の概念・技術に対する理解を深めるため、日本原子力研究開発機構(JAEA)幌延深地層研究センターを視察した。
 2001年に開設された幌延深地層研究センターは、堆積岩を対象とした地質環境の調査・モデル化手法や、モニタリング技術等の調査技術や坑道等の設計・建設に関する技術に係る研究開発を実施している。北海道、幌延町、日本原子力研究開発機構の3者で定めた「幌延町における深地層の研究に関する協定書」により、同センターには放射性廃棄物の持ち込みや使用は行わないことが確約されている。
 今回の視察には、原子力委員会の岡芳明委員長、阿部信泰委員長代理、中西友子委員の3名の他、放射性廃棄物専門部会から部会長の森田朗国立社会保障・人口問題研究所所長、部会長代理の山本一良名古屋学芸大学学長補佐・教養教育機構長、織朱實上智大学大学院地球環境学研究科教授、谷口武俊東京大学政策ビジョン研究センター教授が参加した。
 今回、委員たちはまず人キブル(エレベーター)に乗って深度350mの調査坑道に降り、ここで行われているオーバーパック腐食試験や緩衝材の浸食実験についての説明を受けた。さらに、同センターで行う研究についてのPR施設「ゆめ地創館」も訪れ、現在の地下施設の様子を確認できる「リアルタイムモニター」や貫通石などの展示を見学した。
 また、地層処分実規模試験施設では、他の研究機関との共同研究として試験施設を活用した緩衝材の定置試験などについて説明を受け、その後、委員らはセンター側と質疑応答を行った。
 視察を終えた岡委員長は、「日本の地層処分技術が進んでいることがわかり、(結晶質岩を対象とする)瑞浪の研究施設とともに重要なデータが得られていることが感じられた」と述べた。また、森田部会長も、「地層科学研究がここまで頑張って進められてきていることに感銘を受けた」とした上で、研究成果の国民理解、特にバイアスを持って地層処分をとらえる人たちに対する説明の重要性を指摘した。
 原子力委員会では2013年に、当時の鈴木達治郎委員長代理と秋庭悦子委員が深度140mと250mの坑道を視察したことがある。