東京電力、原子力安全改革の自己評価結果を公表
東京電力は9月2日、福島第一原子力発電所事故の教訓を踏まえ、2013年より進めてきた原子力安全改革の自己評価結果を公表した。
同社は2013年3月、福島第一原子力発電所事故の総括とともに、原子力安全改革プランを公表し、各発電所における設備・運用面およびマネジメント面の安全対策に取り組み、四半期ごとに進捗状況を取りまとめ、随時外部有識者からなる原子力改革監視委員会による評価・助言を受けてきた。このほど公表された自己評価結果は、これに先立つ2016年1月に監視委員会がその要件として示した(1)安全最優先の体現、(2)ガバナンス強化、(3)原子力安全リスク、(4)失敗・課題からの学び、(5)十分な技術力、(6)緊急時対応力、(7)信頼関係の構築、(8)被ばく線量の低減――について、「福島第一廃炉推進カンパニー」と「原子力・立地本部(柏崎刈羽・福島第二)」を対象に、原子力安全改革の成果を総合評価している。評定は、米国原子力発電運転協会(INPO)の評価分類を参考として高い順に、「Ⅰ.目指すべき究極の姿」、「Ⅱ.世界のトップレベル」、「Ⅲ.トップレベルに向け、自主的、継続的改革が軌道に乗っている」、「Ⅳ.自主的、継続的改革の加速が必要」、「Ⅴ.最低限の規制要求のみを満足する状態」の5段階で示しており、今回の自己評価結果では、いずれの組織ともにすべての要件で、「Ⅲ」または「Ⅳ」と評価された。これを受けて東京電力では、「原子力リーダーからの改革」と「世界最高水準の原子力事業者に必要な技術力やマネジメント力を獲得」を重点に掲げ、さらに改革を加速化していくとしている。
監視委員会は同日、自己評価結果の報告を受けて記者会見を行い、委員長のデール・クライン氏(元米国原子力規制委員会委員長)は、「東京電力は事故からコミュニケーションについて多くを学んだ。データを示すだけでなく『情報』という中身のあるものを出していくことが重要」などと述べ、信頼関係の構築に向けて、まだ改善の余地があることを強調した。