ICEF総会、80か国・1,000人超の産官学リーダーらが地球温暖化問題を議論

2016年10月7日

 地球温暖化問題解決に向けたイノベーション促進について議論するICEF(Innovation for Cool Earth Forum)の年次総会が10月5、6日、都内のホテルで開かれ、各国政府、企業、学界他、およそ80か国の1,000人を超す産官学のリーダーらが参集のもと、多岐にわたる討議を行い、「地球の気温は上昇傾向にあり人類は大きな脅威に直面している」ことを認識するとともに、「あらゆる側面で国際協力は必須」などとする声明が発表された。総会では、議論の成果として、ゼロ・エミッション・ハウスなど、2つのプロジェクトに関するロードマップの骨子が取りまとめられた。
akie 安倍首相の提唱により2014年に立ち上げられたICEFは、今回で3回目の年次総会を迎えたが、開会式には昭恵夫人が出席、挨拶に立ち、「地球温暖化対策と豊かで快適な生活を両立するには、現在の生活を根底から見直さなければならない」とした上で、「国境を越えた多様な力で新しいアイデアを」などと、2日間の議論が新たなイノベーション創出につながることに期待を寄せた(=写真上)。
 また、世耕弘成経済産業相の代読として挨拶に立った井原巧・同大臣政務官は、「日本はエネルギーの大宗を輸入する国でありながら、省エネルギーや再生可能エネルギーといった先端技術を大変な努力で磨き、目覚ましい工業化と経済発展を遂げてきた」としたほか、青色発光ダイオードや電気自動車など、日本のイノベーション力を普及させることで、「世界の経済成長と地球温暖化問題の解決を同時に実現できる」などと述べた。さらに、2015年末のCOP21で採択された温室効果ガス削減の国際枠組み「パリ協定」の迅速な締結とともに、その実行においても日本が世界をリードしていくことを訴えかけた。
session 全体セッションの中で、海外有識者らとともに登壇した元国際エネルギー機関(IEA)事務局長で笹川平和財団理事長の田中伸男氏は、今回、メインテーマに掲げられた「ゼロ・エミッションの重要性と実現」に関連し、今世紀半ば頃までを見通した中国、インドを始めとするアジア諸国のエネルギー需要増や石油の中東依存リスクへの懸念を示した上で、持続可能な原子力システムの必要性を強調し、統合型高速炉(IFR)の技術開発について紹介するなどした(=写真下)。
 ICEF年次総会のサイドイベントでは、IEAからエネルギーと気候変動・環境に関する報告書の発表も行われた。