総合エネ調放射性廃棄物WG 「科学的有望地」提示後の取り組みさらなる議論を

2016年10月18日

dscf7028 経済産業省総合資源エネルギー調査会電力・ガス事業分科会原子力小委員会放射性廃棄物ワーキンググループ(WG)は10月18日、第29回会合を開催した。
 まず、科学的有望地提示時の社会科学的観点の扱いについての取りまとめ案を、事務局が示した。処分地選定調査を進める際の原子力発電環境整備機構(NUMO)の方針として、自然環境、地域経済・生活・文化、事業遂行への影響について十分配慮し、地域の意向を踏まえて個別に検証しながら総合的に検討していくとした。またこれらの影響については、遅くとも文献調査段階で当該地域の状況に応じて具体的に検討し、概要調査地区の選定およびそれ以降の事業に適切に反映させることも明記した。その上で、地球科学的・技術的知見の共有と国民の意見の多様性を考慮し、科学的有望地の提示では社会科学的観点からの要件・基準を設定せず、地層処分技術WGで検討されている地球科学的・技術的観点からの要件・基準のみに基づくことが適当との考えを示した。提示後は国民的議論や地域理解が重要であるとし、受け手の目線に立った適切な情報提供に努めていくべきだとした。
 続いて9月30日に原子力委員会放射性廃棄物専門部会が提示した評価報告書、8月から9月にかけて行われた地層処分技術WG取りまとめのパブリックコメント結果についての報告があった。これらを受けて杤山修地層処分技術WG委員長は、指摘を真摯に受け止めて丁寧に対応していくとし、同WGとしては、要件・基準をマップに表現する際に情報の受け手の立場に立って意図することが分かりやすく伝わるようになっているかを精査することや、津波対応など国民の関心が高いが取りまとめ案ではあまり触れていない点により丁寧な説明を加えることなどで、対応し得るとの考えを示した。
 放射性廃棄物WG委員の意見として、崎田裕子NPO法人持続可能な社会をつくる元気ネット理事長は、科学的有望地の提示後、指定された地域が議論を進めていくのと同時に、指定されていない全国の地域でも放射性廃棄物処分地の必要性について考え、受け入れた地域に対する感謝の気持ちを持てるような取り組みが大事だと述べた。山崎晴雄首都大学東京名誉教授は、知識だけでなく自身のこととして実感する「理解」が必要だとし、科学的有望地の提示後の国民理解への取り組みをもっと具体化すべきだと語った。また「科学的有望地」やNUMOが地層処分の説明資料として準備中の「安全パンフレット(仮称)」などの呼称について、誤解を招きやすいため再考が必要であるとの意見が複数出された。