東芝が技術戦略説明会、「世界最高水準の安全性を追求する原子力」を

2016年10月21日

 東芝は10月18日、技術戦略説明会を開催し、顧客との対話を通じ社会課題を解決する基本方針のもと、同社の注力領域の1つであるエネルギー事業を中心に、その実現を目指す取組について、参集した報道関係者や投資家らに訴えかけた。
 同説明会は、情報開示の充実化に向けて新たに行われることとなったもので、開会に際し挨拶に立った綱川智社長は、「いかなる時も、技術を通じて世の中に価値を提供する東芝創業以来のDNAに裏打ちされた挑戦が続いてきた」と述べ、企業発展の「原動力」となる技術の重要性を強調した。さらに、同氏は、今後の技術戦略のポイントとして、(1)強いユニークな技術、(2)新しい領域への挑戦、(3)将来の人材確保――を掲げ、「新生東芝」の実現、新たな成長事業の創出とともに、特に、人材に関しては、2016年度は見送った採用活動を2018年3月新卒の学生について再開する考えを明言した。
 「持続可能なエネルギー社会の実現」を標榜するエネルギー事業の技術戦略に関しては、エネルギーシステムソリューション社統括技師長の風尾幸彦氏が説明に立ち、「世界最高水準の安全性を追求する原子力」、「ゼロエミッションを目指す火力」、「需給バランスの最適制御を追求するエネルギーマネジメント」など、同社の強みとする技術力を披露した。原子力関連では、過酷事故対策を反映した重力落下式の注水冷却システムや、保守物量の低減を実現する大型蒸気発生器を採用した革新的PWR「AP1000」の世界展開について述べたほか、建設、運転、廃炉までのプラント・ライフサイクルを支える技術開発に向け、これまでに蓄積された運転・保守データを活かしていくことなどを説明した。
 この他、重粒子線がん治療装置で、任意方向からの照射を可能とする軽量・小型・回転ガントリーなどの技術についても説明があった。