電事連会見、使用済み燃料貯蔵対策など報告

2016年10月24日

 10月21日の電気事業連合会の定例会見で勝野哲会長は、20日に行われた世耕弘成経済産業相と原子力発電所を有する電力会社の社長との会談について報告した。
 政府の最終処分関係閣僚会議は2015年10月、原子力発電所の再稼働や高経年炉の廃炉が進捗することに伴い、使用済み燃料の貯蔵能力拡大を喫緊の課題ととらえ、官民協力により取組を強化するため、「使用済燃料対策に関するアクションプラン」を決定した。それを受けて、電事連は11月、原子力発電所を有する電力各社による使用済み燃料対策方針を「使用済燃料対策推進計画」として取りまとめており、今回の会談(使用済燃料対策推進協議会)では、この1年間の取組状況について政府側に報告を行った。
 昨秋に取りまとめられた「使用済燃料対策推進計画」では、発電所敷地内の使用済み燃料貯蔵設備の増容量化、中間貯蔵施設の建設・活用など、あらゆる対策を実施することにより、六ヶ所再処理工場への搬出に加えて、事業者全体で2030年頃までに6,000トンU程度(2016年9月末時点の各発電所貯蔵量合計の約4割相当)の貯蔵対策を目指している。20日の会談では、(1)貯蔵能力拡大に係る技術的取組、(2)乾式貯蔵を促すための技術的取組、(3)貯蔵能力拡大に係る理解活動の強化、(4)中間貯蔵施設や乾式貯蔵施設などの建設・活用の促進――に向けた検討状況が報告された。
 その中で、貯蔵方式の拡大に関しては、米国で実績のあるコンクリートキャスクの実用化に向け、溶接部の健全性や検査手法の確立など、技術課題検討が2020年代中頃を開発目標に進められているとしている。電力中央研究所の研究レポートによると、コンクリートキャスクは、外気を自然対流させることで効率的に崩壊熱を除去できる一方、海岸立地を想定した場合、冷却空気に塩分が含まれることで、応力腐食割れによる密封機能喪失などが課題となっている。
 また、理解活動については、2030年頃に2,000トンU規模で福井県外での中間貯蔵の操業開始計画を持つ関西電力では、電事連による広報活動に加えて、中間貯蔵に特化したパンフレット・DVDを作成しているほか、9月末時点でのべ4,000回以上の訪問説明を行うなど、積極的に取り組んでいる。
 経産相との会談では、この他、原子力災害対策の充実化に向けた取組状況についても電力各社より報告があった。