電力各社、原子力プラントの「炭素偏析」でいずれも問題なしと評価

2016年11月1日

 フランスで運転中の原子力発電所に用いられている蒸気発生器の鋼材中に、炭素濃度が局所的に高く機械的強度を低下させる恐れのある「炭素偏析」の可能性が指摘されていた問題で、国内の原子力発電所を有する電力各社からの調査報告が10月31日、原子力規制委員会に提出された。いずれのプラントについても、調査対象部位の炭素濃度は規格上、問題ないと評価している。
 規制委員会は8月24日、フランス原子力安全局が、同国のクルゾ・フォルジュ社および日本鋳鍛鋼により製造された蒸気発生器などの機器について、「炭素偏析」に関する品質管理問題を指摘したことから、国内で運転・建設中の原子力プラントを有する電力11社に対し、調査の上報告するよう求めた。さらに、同委は9月29日、廃止となった原子力プラント(福島第一1~4号機を除く)についても同様の報告を求めた。調査対象機器は、PWRが原子炉容器、蒸気発生器、加圧器、BWRが原子炉圧力容器で、各社ともメーカーによる製造記録や製造要領などをもとに調査を行った。