規制委が原電と意見交換、パイオニアとしての期待が寄せられる
原子力規制委員会は11月16日、臨時会合を開き日本原子力発電の村松衛社長らと意見交換を行った。同委が原子力事業者の幹部から安全性向上に係る各社の取組状況についてヒアリングを行い、安全文化の浸透を図るとともに規制活動の向上に資するもの。
その中で、原電は、安全性向上への自主的取組や地域の信頼確保を中心に、原子力発電のパイオニア企業として、技術力と現場力の維持・向上や双方向コミュニケーションなどに努めていることを強調した。プラントが長期間停止している状況下、保修員の教育訓練として、過去の設備不具合や設備管理に関する知見を、現場でベテラン社員が若手とペアを組んで伝承する「ブラザーシスター制度」について紹介したほか、東海地区で行われる住民との対話集会では、原子力関係のOBも参加し厳しい意見が飛び交うこともあることから、「東海は原電にとって『切っても切れない』地」として、地域と密着した事業運営の重要性などを村松社長は述べた。
また、原子力防災については、電気事業連合会が設立を決定し、原電が主体となって運営している「原子力緊急事態支援組織」(美浜町)が、12月17日に「美浜原子力緊急事態支援センター」として本格運用開始することが公表された。これに関連し、伴信彦委員から、東海地区の人口密集地としての特殊性を踏まえたオフサイト対応について質問があったのに対し、村松社長は、原子力関係の研究機関・メーカーも集積していることから、緊急事態発生時には、これらの持つ知見・技術も活用すべく連携強化に取り組んでいることを説明した。
さらに、原電は、東海発電所廃止措置に対する若手社員の意気込みや、使用済み燃料乾式貯蔵施設を見学に訪れる近隣住民からの関心について述べるなど、他の電力会社に先駆けたバックエンドの取組に注目が集まっていることを強調した。原電からの説明を受け、福島第一原子力発電所事故以降、技術力の停滞に対する危機感を示した更田豊志委員は、同社に「リーダーシップでもパイオニアとしての力を発揮して欲しい」などと訴えかけた。
規制委員会が原子力発電所を有する電力会社と順に行ってきた意見交換は、これで2巡目を終えることとなったが、同委では今後、技術的課題にスポットを当てた意見交換を引き続き行うこととしている。