原子力規制庁・安井長官が就任会見、「職員一人一人の力を発揮させるのが役目」

2017年1月13日

 1月6日付で就任した安井正也・原子力規制庁長官(=写真)が12日、初の記者会見を行い、原子力規制委員会を支える事務方のトップとして、特に、検査制度見直しに関する検討の円滑化、職員全体の能力発揮に力を入れていく考えを述べた。同氏は、経済産業省で要職を歴任後、2012年9月の規制委員会発足時より規制庁緊急事態対策監、2014年3月より長官官房技術総括審議官として、原子力災害対策指針の見直しや福島第一原子力発電所の安定化に関する審議に携わってきた。安井長官は、初代の池田克彦氏から数えて3代目となる。
 安井長官は、会見の冒頭、福島第一原子力発電所事故発災当時の対応を振り返り、「それまでの原子力技術の前提が崩れる大事故となった。前提に捉われず、『これでいい』と思わず、エマージェンシーに備えることを怠らず」などと、「安全神話」への固執に深い反省の意を述べた上で、職員らには実地訓練も課し「貪欲に取り組む」よう指導していく姿勢を示した。
 原子力発電所の新規制基準適合性審査の進捗に関する繰り返しの質問に対し、安井長官は発言を控えたが、「審査も重要だが、動き出した後の管理にもしっかり取り組んでいかねばならない」と、2016年に受け入れたIAEA/総合規制評価サービス(IRRS)の指摘を踏まえ、「世界の規制制度の常識に外れぬことは、大きな意味で福島事故の反省の一つ」とも述べ、現下の課題として、検査制度見直しの検討を強調した。また、「職員一人一人の力を発揮させるのが自身の役目。キチッとした研修プログラムを」などと、人材育成にも重点的に取り組んでいく考えを示した。
 原子力規制行政の信頼回復に関連し、安井長官は、規制委員会発足当初から行っている会議のインターネット動画中継の定着を例に、透明性向上について一定の進捗を認めながら、今後もこうした取組を「地道に積み重ねていくしかない」などと述べた。
 安井正也氏(やすい・まさや) 1982年京都大学院工学系研究科修了。同年通商産業省入省。中小企業庁経営支援部長、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長、大臣官房審議官などを歴任。59歳。