原子力委員会 「基本的考え方」について国民の便益や負担の観点から議論
原子力委員会は2月17日、これまでヒアリングを行ってきた「原子力利用に関する基本的考え方」について、盛り込むべき事項の議論を開始した。原子力政策全体を見渡しつつ、日本の原子力の平和利用、国民理解の深化、人材育成、研究開発等の分野横断的に目指す方向と在り方を示す「原子力利用に関する基本的考え方」は、原子力委員会および関連する政府組織がその責務を果たす上での拠り所となるものであり、そのために必要な程度の具体性を確保しつつ施策の在り方を記述し、原子力を取り巻く幅広い視点を取り入れて、今後の長期的な方向性を示唆するものとなる。
「考え方」の骨子案では、原子力委員会の現状認識として、福島第一原子力発電所事故や地球温暖化問題など原子力を取り巻く環境が変化しており、国民の原子力利用に対する社会的信頼を回復させていかなくてはならないことに言及。さらに、社会や経済状況の大きな変化に対して迅速かつ的確に適応することが急務であること、深刻化する地球規模の課題への対応に有力な手段の一つである原子力を利用していくため、安全性の確保、平和利用の厳格な担保、核セキュリティの確保が重要であることなどを強調している。
こうしたことから、原子力政策の基本目標として、(1)福島の復興・再生に取り組み、福島第一原子力発電所事故の教訓を最大限に活用する(2)国民からの信頼の回復を目指す(3)安全確保を大前提として原子力エネルギーを利用し、国民生活の向上を目指す(4)原子力を活用して地球規模問題に対応し、人類社会の持続的発展に貢献する(5)グローバル化の中での原子力利用の取組を進める(6)社会・経済状況の変化に適合した原子力利用の基盤強化を進める――ことを挙げている。
岡芳明原子力委員長は、司令塔ではなく「羅針盤」とされる原子力委員会の役割について、国民の便益や負担の観点から、国際的な視点も含め考えていくことが重要だとの考えを示した。