総合エネ調WGが地層処分の「科学的有望地」提示について議論、表現の見直しも

2017年2月28日

 総合資源エネルギー調査会の放射性廃棄物ワーキンググループ(委員長=髙橋滋・法政大学法学部教授)は2月28日の会合で、高レベル放射性廃棄物の最終処分場として科学的に適性がより高いと考えられる「科学的有望地」の提示について、処分事業実施主体の原子力発電環境整備機構(NUMO)より「対話活動計画」策定に関する説明を受け議論した。
 最終処分地の選定は、法律に基づき、文献調査、概要調査、精密調査と、段階的に調査範囲を絞り込み、調査・評価の精度を上げながら慎重に進めることとなっている。「科学的有望地」は、こうした処分地選定調査の手前の段階に位置し、全国的データに基づき大まかな適性を示すもので(マッピング)、2015年5月に改定された最終処分基本方針で柱となる「国が前面に立った取組」として、2016年内の提示を目指すとされていた。「科学的有望地」の提示に係る要件・基準としては、地質環境特性・長期安定性、施設の建設・操業時の安全性、輸送時の安全性に関する検討を行い、「適性の低い地域」、「適性のある地域」、「より適性の高い地域」に分類されることとなっている。
 NUMOでは、地層処分事業の認知度向上や、安全性・必要性に関する国民理解の促進を目指し、特に基本方針改定以降、全国規模のシンポジウムから車座形式の少人数意見交換会の開催、ディベート授業の支援、模型展示車「ジオ・ミライ号」の巡回など、工夫を重ねながら多様な広報・対話活動を展開してきた。今後、「科学的有望地」を国が提示することで、さらに幅広く国民に関心を持ってもらうよう、NUMOはこれに先立ち「対話活動計画」を策定・公表することとしている。
 ワーキンググループの会合で、NUMOは、「科学的有望地」提示後も、引き続き広く地層処分の安全性・必要性の理解促進に努めていくほか、「より適性が高い地域」では重点的に対話活動を展開し、地域における主体的な学習活動を支援するなど、より議論を深め、「できれば複数の自治体で同時期に文献調査を行っていく」ことを目指すとしている。
 一方、地層処分の技術的検討を行うワーキンググループの委員長を務める杤山修委員(原子力安全研究協会技術顧問)は、「科学的有望地」の表現について、地下深部の科学的特性を全国マップの形でわかりやすく情報提供する趣旨から、「地域の科学的な特性の提示/マップの提示」とすることを提案した。また、同氏は、マッピングが「廃棄物の押し付け」、「地域をランク付けした」との誤解を招くことを懸念し、「適性がある」は「好ましい特性が確認できる可能性が相対的に高い」などと表現を改めることを示唆した。