原子力委員会 基本的考え方議論 ゼロリスクはないとの前提で安全への取り組み
原子力委員会は2月28日、「原子力利用に関する基本的考え方」に盛り込むべき事項として、安全への取り組み、およびグローバル化を踏まえた国内外の取り組みを中心とした骨子案について議論を行った。
基本的考え方に掲げることとしている原子力政策の基本目標として、2月17日の同委会合で、「安全確保を大前提として原子力エネルギーを利用し、国民生活の向上を目指す」、「グローバル化の中での原子力利用の取り組みを進める」ことが示されている。
今回の会合では、まず、安全への取り組みについて、「ゼロリスクはないとの前提」を打ち出し、(1)福島の復興・再生の推進と教訓の活用(2)過酷事故防止とその影響低減(3)安全に影響する構造要因や組織閉鎖性等の改善(4)「取り締まり型」の規制から自主的安全性向上などを取り入れ実効性のある「予防型」の安全確保への移行(5)健康影響の低減に重点を置いた防災・減災――を推進していくとした。原子力委員会は2016年12月に、軽水炉利用についての見解を示しており、その中で、事業者が取り組んでいる自主的安全性向上について、米国の成功事例を参考に「リスクマネジメントの確立が必要」と指摘した上で、すべてのステークホルダーの認識共有により、「取り締まり型」から「予防型」の安全確保への移行が実現できると期待している。
岡芳明原子力委員長は、今回の基本的考え方の検討に際し実施した有識者ヒアリングを振り返り、畑村洋太郎政府事故調査委員長は「知識化」が、黒川清国会事故調査委員長は「自分で考える習慣づけ」が必要と指摘していることを踏まえながら、各種事故調査報告書が示している反省点と教訓への対応状況をフォローしつつ、根本要因の分析と対応を徹底していくことが重要などと強調した。
また、グローバル化を踏まえた国内外の取り組みについては、グローバル・スタンダードへの適合、国内外の連携・協力推進の他、唯一の被爆国として「核軍縮・核不拡散と原子力の平和利用の推進に貢献する役割がある」ことを改めて明示し、プルトニウム利用の透明性向上、国際社会への適切な説明の必要性などを述べている。