福島第一、増田プレジデント「安全を維持し廃炉を着実に進めていく」

 東京電力は3月30日、福島第一原子力発電所廃止措置の進捗状況を発表した。これに際し、富岡町で記者会見を行った東京電力ホールディングス福島第一廃炉カンパニーの増田尚宏プレジデントは、冒頭、31日に飯舘村、川俣町、浪江町、4月1日に富岡町の避難指示が解除される(帰還困難区域を除く)ことに関して、「住民の方々のお戻りにしっかりと協力していく。帰還の妨げにならぬよう、不安を与えぬよう、福島第一の安全を維持し廃炉を着実に進めていく」と述べた。
 燃料デブリの取り出しに向け、3月18~22日に原子炉格納容器内に自走式調査装置を投入し画像データ、線量データを取得した1号機については、31日より格納容器底部などに確認された堆積物採取を開始する予定が明らかにされた。今回の調査について、増田プレジデントは、「得られたデータは今後の燃料デブリ取り出しの貴重な判断材料」と、成果を認め、今後の進展に意気込みを示した。福島第一廃止措置の中長期ロードマップでは、今夏を目途に、号機ごとの燃料デブリ取り出し方針を決定する計画だ。

廃炉情報誌「Hairo Michi」創刊号、学生インタビューもある

 また、2号機についても、1~2月に実施した原子炉格納容器内部調査によるペデスタル(原子炉圧力容器の下部)内の画像から、グレーチング(格子状のスノコ)脱落などの損傷状態が明確化されつつあり、今後、得られた情報をもとにペデスタル内の状況を引き続き調査するとしている。
 汚染水対策については、1号機タービン建屋内の滞留水の除去が3月24日に完了し、引き続き、2020年内の福島第一の建屋内滞留水処理完了を目指し、得られた作業実績や知見を2~4号機の滞留水除去にも反映させていくとしている。
 会見では、福島第一の廃炉事業についてわかりやすく伝える情報誌「Hairo Michi」(はいろみち)を、4月より概ね隔月発行していくとして、創刊号が披露された。