高レベル放射性廃棄物地層処分「科学的特性マップ」提示に向け全国9都市でシンポ開催へ

2017年4月18日

昨年度のシンポジウムの模様(東京)

資源エネルギー庁と原子力発電環境整備機構は、高レベル放射性廃棄物の最終処分について考えるシンポジウムを5~6月に全国9都市で開催する。総合資源エネルギー調査会のワーキンググループは4月17日までに、地層処分に係る地域の科学的特性をマッピングするための技術的要件・基準の検討結果を取りまとめ、合わせて、わかりやすく情報提供するという趣旨を踏まえ、これまでの「科学的有望地」という呼び方を、「科学的特性マップ」に改めることとした。シンポジウムでは、今後、日本の地下環境の科学的特性を客観的に示す全国地図として作成する「科学的特性マップ」提示の位置付けや、提示後の活動の進め方について説明し、広く意見を求める。
高レベル放射性廃棄物の地層処分については、国が「科学的により適性が高いと考えられる地域」を提示するとともに、調査への理解と協力を地方自治体に申し入れることを柱とした改定基本方針が2015年5月に閣議決定しており、以降、これを踏まえた広聴・広報活動として、全国シンポジウムや自治体説明会が行われている。
一方、総合資源エネルギー調査会の地層処分技術に関するワーキンググループでは、昨夏より、地域の科学的特性の提示に係る検討を進め、2回のパブリックコメントを経て、このほど検討結果が取りまとめられた。特に、マップの要件・基準の意図をわかりやすく表現する方法について議論となり、火山や活断層の近傍といった地質環境特性や長期安定性確保の上で好ましくない要件・基準が一つでも該当する場合は「好ましくない特性があると推定される地域」に、いずれも該当しない場合は「好ましい特性が確認できる可能性が相対的に高い地域」と分類・呼称されることとなった。さらに、「好ましい特性が確認できる可能性が相対的に高い地域」のうち、海岸からの距離が短い範囲に該当する場合は、「輸送面でも好ましい地域」とされる。
全国シンポジウムは、5月14日の東京を皮切りに、富山、福岡、札幌、高松、仙台、名古屋、広島、大阪の順に開催される。