核融合科学研、大型ヘリカル装置の重水素実験で1億度超を達成

2017年4月25日

 核融合科学研究所は4月21日、将来の核融合炉実現に向け進めている大型ヘリカル装置(LHD)計画の重水素ガスを用いたプラズマ実験(重水素実験)で、1億度超の温度を達成したと発表した。プラズマとは電子と原子核とがバラバラになった高温の状態で、原子核同士が衝突することで核融合反応が起こるが、核融合反応を持続させるには、高温プラズマを炉心に閉じ込める必要がある。LHD計画では、核融合炉の設計条件として必要な1億2,000万度の実現を最終目標値としており、今回の成果は大きな前進となった。
 同研究所が3月7日から行っている重水素実験は、プラズマ性能の向上を実証する軸となるもので、これまでの軽水素ガスによる実験による最高温度9,400万度をしのぐ成果が得られた。
 重水素実験は2024年度頃まで実施される予定だが、今後は、国内外の共同研究者とともに、超高温プラズマの性質や高エネルギー粒子の挙動などを学術的に解明し、将来の核融合炉の実現に向けた研究につなげていく。
 また、同研究所では、LHD施設のコンクリート遮蔽壁について、重水素実験で発生する中性子を用いた検査により十分な性能を確認し、検査機関の合格証の交付を受けているほか、トリチウム除去装置や放射線監視システムの設置など、所要の安全管理計画にしたがって実験を行っている。