福島第一、3号機使用済み燃料取り出しに向けカバードーム屋根ユニットの搬入が始まる

 東京電力は6月29日、福島第一原子力発電所廃止措置の進捗状況を発表した。使用済み燃料取り出しに向けては、8月の設置開始を目指し、3号機原子炉建屋で燃料取り出し用カバードーム屋根ユニットの構内搬入が始まっている。カバードームは、使用済み燃料プール上方に設置される燃料取扱機およびクレーンを覆うもので、幅約23m、高さ約18mのかまぼこ型。燃料取扱機およびクレーンは、「FHMガーダ」と呼ばれる水平部材に敷設されたレール上を走行する。8ユニットからなるドーム屋根の構内での設置に際し、計画外作業による被ばくが極力生じないよう、既に訓練も実施されており、最初の1ユニットが6月27日に小名浜港より海上輸送された(=写真、ⓒ東京電力)。ドーム屋根の設置は2018年度中頃に完了し、燃料取り出し開始となる見通しだ。
 原子炉建屋内への地下水流入量を低減し汚染水の増加を抑制する陸側遮水壁については、6月26日に完全閉合する実施計画の認可申請が原子力規制委員会に提出された。1~4号機を囲む総延長約1,500mの陸側遮水壁は、地盤中に所定の間隔で凍結管を埋設し、これに冷媒を循環させることで凍土を造成するもので、山側総延長の約860mの約1%に相当する未凍結部分1か所(約7m)が残っていたが、完全閉合しても確実な水位管理ができることが確認されている。
 燃料デブリの取り出しに向けては、日本原子力研究開発機構の楢葉技術開発センターで、原子炉格納容器(2、3号機)の一部分を実規模で模擬したモックアップによる止水技術に関する試験が6月12~24日に実施され、遠隔操作でのコンクリート打設の有効性などを確認した。