九州電力が川内1号で初の安全性向上評価をまとめ、他プラントへの反映に向け規制委も議論へ

2017年7月10日

 九州電力は7月6日、川内原子力発電所1号機(=写真左)について、原子炉等規制法で求められる安全性向上評価の届出書を、原子力規制委員会に提出した。自主的・継続的に施設の安全性・信頼性を向上させるため、リスクを合理的に可能な限り低減することを目指すもので、全国の原子力発電プラントの中で先陣を切り、新規制基準をクリアして再稼働に至った同機が初の事例となった。
 本届出書では、保安活動の実施状況調査、確率論的リスク評価、安全裕度評価などを実施した上で、これらの結果を踏まえた一層の安全性向上に向けた今後の取組計画をまとめている。例えば、敷地周辺地震観測装置の追加を2017年度中に、事故時の重要な操作に対する教育訓練の強化を「届出後遅滞なく」行うこととしている。
 規制委員会では、これに先立つ5日、安全性向上評価の届出書の確認を行うとともに、今後の他プラントへの反映も念頭に置き改善事項について議論する公開の会合を開催することを決めた。
 施行から間もなく4年を迎える新規制基準のもと、初めての制度運用となる安全性向上評価において、事業者は定期検査の終了から6か月以内に評価を実施し、評価結果を規制委員会に届け出ることとなっている。再稼働後、最初の定期検査を1月6日に終了した川内1号機について、このほど九州電力が評価結果を取りまとめ規制委に提出した。
 4月に行われた規制委員会と九州電力経営トップとの意見交換で、委員からは、他プラントに先んじて再稼働、定期検査を経験した川内1、2号機について、安全運転の実績が評価されるとともに、続く安全性向上評価の準備状況にも注目が集まった。川内1号機は、2014年9月に同2号機とともに新規制基準に係る原子炉設置変更許可に至り、2015年8月に原子炉起動、発電再開、同9月に通常運転復帰、16年10月~17年1月に定期検査が実施されている。