規制委、検査官などの能力向上を見据え資格制度導入へ
原子力規制委員会は7月12日、原子力施設の検査や安全審査など、高度な専門的知識・経験が必要な職務に携わる職員の能力向上に向け、資格制度を導入することを決めた。2016年に来日したIAEAの総合規制評価サービス(IRRS)ミッションでも、検査官の素質と能力の強化や初期訓練の必要性が指摘されており、新たな資格制度の導入により、2020年度から全面施行となる新検査制度の運用にも的確に対応できるようにする。
資格の種類は、(1)原子力検査、(2)原子力安全審査、(3)保障措置査察、(4)危機管理対策、(5)放射線規制――の専門分野ごとに、基本、中級、上級の3段階が設けられる。資格の付与は、原子力安全審査、保障措置査察、危機管理対策の各資格分野で、既に安全審査官、査察官、原子力防災専門官として職務に就いている職員や中途採用の専門職員について、今秋より開始される。
原子力検査の資格については、現在の原子力施設検査官と原子力保安検査官の有資格者など、新検査制度に関わる職員に必要な研修を受講させた上で、2019年度末までに付与し、新制度の円滑な運用開始を図れるようにする。放射線規制の資格についても同様に、現在の放射線検査官の有資格者に放射性同位元素のセキュリティに関する研修を受講させた上で、2019年中に付与し、テロ対策の充実・強化を盛り込んだ改正放射線障害防止法の円滑な運用を図る。
また、新規に基本資格を取得する職員については、原子炉概念、原子力防災の基礎知識、法令概要などからなる全資格共通の基礎カリキュラムが2018年度より開始予定となっている。まず、人事課の受講指示を受け、6か月間の基礎カリキュラム、専門レベルの共通習熟・技術習熟カリキュラム(最長18か月)と進み、総括指導官による確認、課程修了審査を経て、修了証交付・資格者登録、要資格ポストへの任用となる流れだ。資格取得後も、3年ごとに継続教育訓練を受けさせ、職員の能力向上を図ることとしている。