【解説】EUにおける福島県産米の輸入規制解除へ
一般社団法人 日本原子力産業協会
政策・コミュニケーション部
今秋以降、福島県産米のEUにおける輸入規制が解除される見通しであることがわかった。
7月6日、日本と欧州連合(EU)との経済連携協定(EPA)交渉が大枠合意に達した。ユンカー欧州委員長は安倍首相との合同記者会見において、「2011年の東日本大震災以降、福島において、安全な商品を生産することに関し、めざましい進歩を遂げられていることを称賛する。夏休みの後には輸入規制を緩和できると確信している」と述べた。
安倍総理から福島県産等食品に対する輸入規制の緩和を要請したことに対する前向きな意思表明であり、福島県知事も「EUでの福島県産米の輸入規制緩和については、吸収抑制対策やモニタリング対策など、本県の安全・安心の取組が改めて評価された」と述べており、福島の米の風評回復に大きく寄与することになるだろう。
福島第一原子力発電所の事故により、福島県産の精米をEU域内に輸入するには、政府作成の放射性物質検査証明書が必要となっている。また福島県以外の46都道府県産の精米の場合であっても、産地証明書が必要となっており、いずれの場合においても、輸入国にてサンプル検査が行われる場合がある。これらの手続きの緩和は、米の輸出の拡大のみならず、消費者の安心にもつながるであろう。また、アジア各国等において今もなお継続している輸入規制の撤廃、緩和といった効果も期待される。
なお、福島県産米は、2012年産米以降、全袋検査を行っているが、2015年産米以降、基準値超過は発生していない。その基準値にしても下表のとおり、日本の基準値は国際基準値に比べて厳しい基準を設定している。