内閣府、放射線利用の経済規模調査結果を10年ぶりに発表

2017年8月30日

 内閣府(原子力委員会)は8月29日、2015年度に実施した放射線利用の経済規模に関する調査結果を発表した。それによると、工業、医療、農業などの分野で放射線を利用した製品やサービスについて算定した市場価格の総額は4兆3,698円億に上り、2005年度に実施した前回調査の4兆1,117億円の約1.06倍となった。
 2015年度調査結果の内訳をみると、工業利用が最も多く2兆2,210億円(51%)、医療・医学利用が1兆9,094億円(44%)、農業利用が2,393億円(5%)だった。前回調査との比較では、工業利用のうちで9,700億円と最も多くを占める「半導体素子・集積回路」は、半導体加工の減少により約1,000億円縮小となった。アジアにおける半導体市場が成長し、国内の市場規模が縮小したものと分析している。一方で、医療・医学利用は前回調査比で1.24倍の大幅増、農業利用はほぼ横ばいだった
 また、原子力発電や原子力機器の輸出など、エネルギー利用の経済規模もまとめており、2005年度の前回調査で4兆7,410億円だったのに対し、2015年度の調査では多くの原子力発電所が停止したことにより842億円と大幅に減少している。2015年度には、関西電力高浜3号機と九州電力川内1、2号機の3基のみが稼働した。因みに、2005年度の原子力発電設備利用率は71.9%だった。原子力機器の輸出額の算定に際しては、原産協会がまとめた産業動向調査のデータが参照されている。