ICEF年次総会開催、地球温暖化問題の解決に向け国内外1,000人超が参集し議論

2017年10月6日

 地球温暖化問題の解決に向け世界の産学官のリーダーが集まり話し合うICEF(アイセフ、Innovation for Cool Earth Forum)の年次総会が10月4、5日、都内ホテルで開催され、エネルギー分野における社会システムイノベーション、気候変動対策の革新に向けた女性や若者の活躍といったダイバーシティの役割など、幅広い議論がなされた。ICEFは安倍首相の提唱により2014年から毎年10月に開かれており、今回も約80の国・地域から1,000人を超す参加者があり、気候変動に対する世界的な関心の高まりがうかがえた。
 年次総会の開会に際し、安倍晋三首相と世耕弘成経済産業相はビデオメッセージを送り、それぞれ、「後世に豊かな地球環境を残すことは我々の責任」、「イノベーションを起こし社会を変え、世界全体の持続可能な発展につながることを祈念」などと、ICEFのグローバルな意義を述べ2日間の議論に期待を寄せた。
 続いて、ICEF運営委員長を務める田中伸男氏(元国際エネルギー機関事務局長)が登壇し、日立製作所会長の中西宏明氏と気候変動政府間パネル(IPCC)議長のホーセン・リー氏とのディスカッションが行われ、田中氏は、トランプ米国大統領のパリ協定脱退表明、中東産油国の石油需要低迷など、エネルギーや地球温暖化を巡る問題を提起した(=写真)。
 これを受け、中西氏は、人口減少に伴う電力消費の頭打ちなど、国内市場は厳しい局面にあるとする一方、原子力については「人間の英知の成果。将来に向けて大変重要なエネルギー源」と力説し、イノベーションを生み出す産業界のリーダーとして世界に貢献していく決意を述べた。また、リー氏は、世界全体の平均気温の上昇を産業革命以前から2度C未満に抑える「2度C目標」の達成には、発電の脱炭素化が必要なほか、食糧や生物多様性など、さらに多くの問題が複雑に絡み合い困難を極めることを強調し、IPCCの立場として「あらゆる技術に対しオープンな考えを維持する」と、特に原子力については「最終的には社会の受入れが重要」と述べた。