仏「CEA TECH DAYS」開催 日本の原子力産業に開発事例を紹介

2017年11月1日

 仏原子力・代替エネルギー庁(CEA)の科学技術研究機関のひとつであるスマート・デジタルシステム技術応用研究所(LIST)が10月12日、原子力産業への技術貢献について都内で発表を行った。CEAがICT(情報通信技術)、エネルギー、医療などの分野で欧州の技術研究開発の最新情報を紹介する「CEA TECH DAYS」の一環で、日本の産業界に対しパートナー提携の機会を提供するもの。
 発表ではまず、LIST計量・計装・情報部代表のA.ブヌ氏が、LISTと原子力産業の結びつきについて、次世代炉、解体、放射性廃棄物処理、原子力推進などの分野でLISTの開発した技術が利用されていることを説明した。日本企業からの「CEA-LISTと企業が共同開発した場合の特許権はどこに所属するのか」との質問には、「ケースバイケース。特許はCEAが有し、使用許諾をパートナーに付与する場合が多い」と回答した。
 これに続いて、アーキテクチャー・ICデザイン・組み込みソフトウェア部長のコレット氏が、デジタル面でのセキュリティ安全確保について触れた上で、技術の進化によりカメラが耐えうる放射線量や温度が飛躍的に伸びている例を紹介した。
 こうした成果を産業界に波及していくパートナー企業として、放射線量の高い環境や爆発性の物質を扱う現場など、過酷条件での産業分野に特化したエレクトロニクス企業であるERMES社のデジャヴダン社長が登壇し、同社による耐放射線カメラと一般のカメラの違いを比較映像で示し、技術力の強みを披露した。
 CEA-LISTと産業界との連携に関して、計量・計装・情報部のM.バカリ産業連携部門マネージャーは、「CEA科学技術研究機関の同部門が持つ独自の実験施設で、機能的なプロトタイプをデザインし、産業界へ移管していく」という戦略を強調した。同氏は、ロールスロイス社との中性子監視システム(DWRNMS)開発や、アレバ社など様々な企業とのパートナーシップを築いていることを語った。福島第一原子力発電所の廃炉では、燃料デブリの所在を特定し検知するために、フォトニス社と20年にわたり開発してきた核分裂電離箱等を用いてモンテカルロ法による中性子検出を行ったことなども挙げ、日本企業に対し関心を呼びかけた。
 最後にブヌ氏は、「今後さらなる新規プロジェクトの相談にも応じていきたい」と意欲を示し、発表を締めくくった。
<CEA TECH DAYS:コンタクトポイント>
CEA Tech 日本代表
Yann GALLAIS(ヤン・ガレ)
yann.gallais@cea.fr
Tel: 03-5798-6337