福島第一、3号機使用済み燃料プールからの取り出しに向け燃料取扱設備が出港

本牧港で船に積載されるクレーン(手前)と燃料取扱機(東芝提供)

 東京電力福島第一原子力発電所では、3号機使用済み燃料プールからの燃料取り出しに向け、ドーム屋根の組立作業が7月より始まっており、屋根部材全8ユニットのうち、5つ目のユニットを11月2日に原子炉建屋上部につり上げたところだ。(参照 10月27日既報
 ドーム屋根の全ユニットの設置が完了し燃料取り出し用カバーとして完成する前に原子炉建屋上部の作業床上に設置される燃料取扱設備が11月5日、本牧港を出港した。
 燃料取扱設備は、燃料取扱機とクレーンとで構成される。燃料取扱機は、使用済み燃料プール内燃料の安全・確実な取り出しを行うもので、被ばく低減を考慮した設計となっており、マニピュレータに設置したカメラでがれき撤去や燃料取扱い操作を確認できるほか、装置先端には様々なツール(ケーブル・鉄筋切断、つかみ具等)の接続が可能な仕様となっている。燃料プールから取り出された燃料は、構内用輸送容器に収納され、クレーンにより地上階に運ばれる(=図)。

朝日をバックに福島第一原子力発電所に向け出港(東芝提供)

 燃料取扱設備は、免震重要棟付近の建物内において、複数のカメラで見ながらの遠隔操作という、これまでに類を見ない操作を行うが、本機を製作した東芝エネルギーシステムズでは、福島第一原子力発電所への出荷前に、動作確認および操作員向けの訓練が繰り返し実施されている。
 燃料取扱設備は今後、福島第一原子力発電所に到着し、11月中旬目途に設置される予定だ。
 東京電力公表のスケジュールによると、ドーム屋根の設置は2018年度初頭にも完了し、同年度中頃の燃料取り出し開始が予定されている。