経団連がエネ政策で提言、「原子力の継続的利用」としてリプレース・新増設も求める

2017年11月15日

 日本経済団体連合会は11月14日、今後のエネルギー政策に関する提言を発表した。政府では今夏より、策定から3年が経過したエネルギー基本計画の見直しに着手しており、2030年度の電源構成で、原子力20~22%、再生可能エネルギー22~24%、火力56%程度とするエネルギーミックスの実現に向けて検討に入ったところだ。
 これを踏まえ、提言ではまず、エネルギー政策が基本的視点としている「S+3E」(安全性、安定供給、経済効率性、環境適合)の適切なバランスを実現することの重要性について、「今後とも微塵も揺らぐことはない」と改めて強調した。その一方で、わが国として、「S+3E」を同時達成できる「理想のエネルギー源」は存在せず、より一層の省エネ推進とともに、多様なエネルギー源を活用し、地理的・経済的事情に応じたベストミックスを追求すべきとしている。さらに、エネルギー起源が9割を占めている温室効果ガスの排出量削減目標を国際社会に表明していることからも、エネルギーミックスについて、「現段階で安易に変更すべきではない」と述べ、政府に対し、その実現に向けた取組強化を求めている。
 各エネルギー源・政策課題に対する考え方のうち、原子力発電については、「安全性と信頼の確保」を第一に掲げた上で、「原子力の継続的利用」として、着実な再稼働、60年までの運転期間延長、建設中プラントの工事再開が必要としたほか、リプレース・新増設について、温室効果ガス削減の長期目標達成や、人材・技術維持の観点から、政府に対し施策に盛り込むよう求めている。また、原子力人材・技術については、「失われてしまった場合、将来的な原子力発電所の建設・保守・廃止等は他国に依存するほかに道がなくなる」と警鐘を鳴らし、迅速な対応を要するものと強調した。
 この他、省エネルギーについては、「基本的に3Eのすべてを満たす重要な政策課題」ととらえ、「経団連低炭素社会実行計画」のもと、自主的な取組を続けていくとしている。また、化石燃料については、資源確保やCO2排出の面で課題はあるものの、引き続き原燃料としての重要性から、高効率化と低炭素化を図るとともに、政府による積極的な資源外交や海外権益確保への支援を通じ、安定的かつ安価な資源調達を期すべきと述べている。
 2050年を見据えたエネルギー政策についても、経済産業省で有識者による検討が開始したところだが、これに関し、提言では終わりに、「不確実性の高さを踏まえ、単一のシナリオに依拠することのない、柔軟な将来像を描き出す」、「将来の産業ビジョンを描き、そのビジョンを念頭に責任ある議論を深める」ことなどを求めている。