第2回廃炉創造ロボコン 昨年例から学び大きく前進 16チームがしのぎを削る

 全国の高等専門学校(高専)の学生を対象とした「第2回廃炉創造ロボコン」が12月16日、福島県の日本原子力研究開発機構楢葉遠隔技術開発センターで開催され、参加学生、関係者、報道関係者などを含め約300人が来場した。同ロボコンには全国から25チームの応募があり、書類選考で残った15校16チームが、競技課題のクリアに向けて様々な趣向を凝らしたロボットを披露した。
 昨年の第1回ロボコン同様、競技は照明がなく暗闇であることを想定しており、遠隔で操作するロボット本体を直視することはできない。またコンクリートの厚い壁があるため電波は届かず、放射線の影響によりカメラや半導体機器の動作には制限時間が設けられている。こうした厳しい環境下で、階段を上り5kgの荷物を置いて元の場所に戻ることや、フィールド内の不特定の場所に置かれたものが何であるか調べることなどのミッションを選択し、前日に行われたプレゼン内容も含めて審査が行われた。
 今回の参加チームは、事前に開催されたサマースクールで昨年の第1回ロボコンの様子を見て研究する機会があり、前回は踊り場まで到達できたチームがなかった「モックアップ階段」では、今回は3チームが最上階まで登ってミッションを達成。前回どのチームも一番奥まで到達できなかった「ステップフィールド」では、今回もミッションは達成できなかったものの2チームが奥まで進むことができた。
 文部科学大臣賞(最優秀賞)に輝いた奈良高専「奈良廃炉ロボコン友の会」は、昨年度の同高専先輩チーム同様にクローラ(キャタピラ式走行装置)機構とエアシリンダー(空気圧エネルギー変換装置)機構を搭載したロボットで勝負に挑んだ。リーダーの安川昂佑氏は「突起の引っ掛かりをきちんと計算し、走行部分に重心を置いて強度の高いロボットにした」と製作のポイントを語った。チームメイトの竹村元気氏は「今回のロボコンは、福島第一原子力発電所の様子を学ぶ良い機会となった」と参加の意義を語った。
 その他、ドローン、ローバー、ベースロボットの3台のロボットを連携させた一関高専「機械技術部Enter」が福島県知事賞(優秀賞)を、6本の脚を回転させながら生き物のように力強くロボットを前進させた熊本高専「NITK-K Robocon Team)が高専機構理事長賞(アイディア賞)を、クローラの工夫で階段にスムーズに進入でき滑り落ちにくいロボットを実現した小山高専「小山高専ロボット製作チーム2017」が原子力機構理事長賞(技術賞)を受賞した。
 本ロボコンの実行委員を務めた福島高専の鈴木茂和准教授は、来年の第3回廃炉創造ロボコンについて、「より廃炉の現場に近い課題とする」と語り、今回のロボコンを見学していたマレーシア工科大学などにも参加してもらえるよう交渉していることにも触れた。

奈良高専「奈良廃炉ロボコン友の会」

一関高専「機械技術部Enter」


熊本高専「NITK-K Robocon Team」

小山高専「小山高専ロボット製作チーム2017」