原子力委員会が「プルトニウム利用の基本的な考え方」改定へ、国際社会への説明を着実に

2018年1月19日

 原子力委員会は1月16日の定例会議で、2003年に決定した「わが国におけるプルトニウム利用の基本的な考え方について」を改定することを決めた。2017年7月に同委が取りまとめた「原子力利用に関する基本的な考え方」では、「国際社会におけるプルトニウム管理とその削減に対する関心が高まっており、わが国におけるプルトニウムの管理とバランス確保の必要性はますます高まっている」と述べられている。岡芳明委員長は、「日本がプルトニウム利用について国際的にきちんと説明することは重要」と強調した。
 日本と同様に使用済み燃料を再処理して分離したプルトニウムをMOX燃料に加工して利用するフランスでは、余剰プルトニウムを発生させないよう、「一定期間の分離プルトニウムの利用見通しに従って使用済み燃料を再処理する」という政府のガイドラインが2003年より適用されている。原子力委員会では今後、フランスの例も参考に、「利用目的のないプルトニウムは持たない」との原則を引き続き堅持し、現在の商業用プルトニウムや研究開発用プルトニウムの状況などを踏まえ、2003年に決定した基本的考え方を年内にもアップデートする方針だ。
 昨秋に原子力委員会が取りまとめた日本のプルトニウム利用に関する解説によると、プルトニウムをMOX燃料に加工して軽水炉で消費するプルサーマルにより、プルトニウム・バランスを確保していくことが可能だとしており、「長期的に日本のプルトニウム保有量を削減するという目標が達成される」との見通しを示している。
 一方で、プルサーマル発電は、福島第一原子力発電所事故を経て、原子力規制委員会による新規制基準に合格した関西電力高浜3、4号機、四国電力伊方3号機の3基で実施されたものの、そのうちの伊方3号機では2017年12月、広島高裁により運転差止めを命じる仮処分の決定が出された。また、六ヶ所再処理工場とMOX燃料加工工場も、新規制基準審査や安全対策に時間を要しており、しゅん工時期が先送りとなっている状況だ。
 なお、研究開発用プルトニウムに関して、原子力委員会は12月に、日本原子力研究開発機構の定常臨界実験装置「STACY」の新規制基準審査に係る原子力規制委員会への答申で、審査結果は妥当としつつも、粉末燃料貯蔵設備のプルトニウム保管ピットに貯蔵するのみのウラン・プルトニウム混合酸化物の粉末状燃料について、「利用目的がないとの誤解を生じさせる恐れがある」とする異例の意見付記を行っている。