原子力委、再処理・MOX燃料工場の進捗状況につき日本原燃よりヒア

2018年2月7日

 原子力委員会は2月6日の定例会合で、日本原燃の村上秀明副社長らから青森県六ヶ所村に建設を進めている再処理工場とMOX燃料工場の進捗状況についてヒアリングを行った。日本では、原子力発電所から発生する使用済み燃料を再処理し、回収されるプルトニウム、ウランをMOX燃料に加工して軽水炉で利用することとしているが、同委は昨今の国内外情勢を踏まえ1月16日、「利用目的のないプルトニウムは持たない」との原則堅持のもと、「わが国におけるプルトニウム利用の基本的考え方」(2003年決定)の見直しを決定した。今後の検討に向け、同社に続き、資源エネルギー庁などからも説明を受ける考えだ。

六ヶ所再処理工場アクティブ試験開始の模様(2006年3月31日、中央制御室にて)

 再処理工場は、原子力発電所でいう試運転に相当するアクティブ試験を2006年3月に開始し本格操業を目指していたが、ガラス固化設備のトラブルや、2014年以降は、原子力規制委員会の新規制基準に対応するための安全性向上工事などに期間を要することで、しゅん工時期は先送りされ、2017年末には、2018年度上期から2021年度上期に約3年間延期となった。また、2011年10月に着工したMOX燃料工場も、新規制基準対応などから2019年度上期から2022年度上期にしゅん工時期が約3年間延期されている。
 日本原燃は会合で、こうした経緯について説明し、「安全第一に現場の工事を進める」とともに、しゅん工までの期間を活用し、品質保証活動のさらなる改善、設備の健全性確認、運転員および保守要員の訓練などを継続的に実施し、安全・安定な操業運転が行えるよう全社をあげて取り組んでいくことを強調した。
 これに対し、岡芳明委員長は、プルトニウム・バランスや日本原燃の経営体制にも触れながら、民間事業として「巨大かつ機微な」核燃料サイクル技術を基礎から着実に進めていくよう要望した。
 なお、原子力委員会は1999年に、六ヶ所再処理工場のしゅん工延期が2003年1月から2005年7月に延期された際、核燃料サイクル政策に及ぼす影響の重要性に鑑み、日本原燃、電気事業連合会他、関係省庁よりヒアリングを実施した上で見解を取りまとめ、2000年末まで毎月、当時所管だった科学技術庁に工事進捗状況について報告を求めたことがある。