国際原子力開発のベトナム人材育成プログラム、第3期生8名に修了証書が授与
ベトナム電力グループ(EVN)から選ばれた発電所幹部候補生に対し、国際原子力開発(JINED)が東海大学で実施する人材育成プログラムの第3期生修了式が2月6日、都内で行われ、ベトナムから訪日し1年半の研修を終えた8名に修了証書が授与された(=写真上)。
本プログラムは、2012年より、ベトナム・ニントゥアン省における第2原子力発電所建設プロジェクト推進の一環として、EVNの人材育成を図るため、日本語教育を施すとともに、原子力工学の基礎から実務までを幅広く学ばせ、現場実習も行う実践的教育コースとして行われてきた。大学院レベルの高度な知識を身に付け、発電所・工場現場の他、日本の文化・風習なども体験するのが特色で、これまでにプログラムを修了した発電所幹部候補生は第1、2期合わせて24名となっている。
一方で、2016年11月にベトナム国会が原子力発電所建設プロジェクトの中止を決定したことに伴い、本プログラムは、第3期において、LNG火力に関する研修を追加するなど、内容に変更を加えたほか、2年間予定の研修期間を1年半に短縮し、今期で終了することとなった。
式では、東海大学の山田清志学長が、「大変な努力を重ね大きな目標を達成した」などと8名の研修生たちの勤勉さを称え、修了証書を授与した。
来賓として訪れた駐日ベトナム大使館のファム・クアン・フン一等書記官は、原子力発電所建設プロジェクトの中止決定について、「心血を注がれた皆様には大変申し訳なく思う」と陳謝する一方、「本プログラムを踏まえ、日本・ベトナムの人材育成協力は他産業においても効果を発揮する」などと述べ、今後の両国間の交流深化に期待を寄せた。また、原子力国際協力センター/原産協会の高橋明男理事長も、経済成長著しいベトナムの将来的な電力需要増を展望し、「ベトナムの発展に協力していくものと思う」と、研修生らを激励した。
第3期修了生を代表し謝辞を述べたファム・クアン・チン氏が、電力の安全性・安定性・経済性について学んだ経験を振り返り、「将来の仕事に活かすことができると思う」とした上で、帰国後も日本とインターネットを介して連絡し合えることを要望すると、JINEDの小野田聡社長は、「人のネットワークは貴重な財産。是非遠慮なく日本に問い合わせて欲しい」と応えた。さらに、小野田社長は、ベトナムの原子力発電所建設プロジェクトの再開に望みを託し、「改めて研修に戻ってきて欲しい」とも述べた。
式の終わりに、EVNのグエン・クオン・ラム副社長が挨拶に立ち、日本側の協力に対し感謝の意を表するとともに、「電力供給の増加や再生可能エネルギーの導入計画で、今後、ハイレベルの人材が求められている」として、先端技術の導入や管理能力の向上などを目指し、引き続き日本をはじめ各国との協力に努めていく考えを述べた(=写真下)。