電中研NRRC、原子力の安全性向上に向けリスク情報活用の研究ロードマップ公表

2018年2月16日

 電力中央研究所の原子力リスク研究センター(NRRC)は2月13日、原子力の安全性向上におけるリスク情報活用に向けた研究ロードマップを公表した。同日行われた原子力委員会の定例会合で、NRRCの横尾健所長代理が、進捗状況や新知見などを反映し適時更新していく考えから、「2018年2月版」として説明したもの。合わせて、電気事業連合会、原子力安全推進協会(JANSI)も、それぞれリスク情報活用に関する取組状況について報告した。
 これに先立ち、電気事業連合会は2月8日開催のNRRCシンポジウムで、原子力規制委員会による新検査制度が導入される予定の2020年度を見据えた「リスク情報活用の実現に向けた戦略プランおよびアクションプラン」(原子力発電所を有する11社の連名)を公表した。戦略プランでは、確率論的リスク評価(PRA)を用いた「リスクの定量化が重要な役割を果たす」としており、その研究開発を一元的に進めていく必要性を述べている。NRRCは、2016年7月の「リスク情報活用推進チーム」新設時に、PRAのピアレビューやデータベースなどの技術基盤整備に係る業務をJANSIから引き継いでおり、2018年度にはPRAの人材育成についても同じく移管される予定だ。
 NRRCが公表した研究ロードマップは、人間信頼性評価(HRA)手法、地震/耐震評価など、大きく分けて13の研究項目について、2022年までのスケジュールを示し、PRA技術の改良・開発に取り組むこととしており、今後、事業者による戦略プランの推進を支えるものとなる。
 NRRCのジョージ・アポストラキス所長は、2017年3月に行った原子力産業新聞のインタビューで、「リスク情報活用推進チーム」を中心とした研究ロードマップの検討状況について触れており、「日本において、産業界や規制当局も含めリスク情報が日々当たり前のように活用されるよう、ロードマップを実行に移して欲しい」と述べている。