原子力機構が4月より「組織の整流化」、規制委との意見交換で方針示す

2018年3月13日

 日本原子力研究開発機構は、4月を目途に6月に発生した大洗研究開発センター燃料棟の汚染事故などを踏まえ、各事業の管理責任者を担当理事に統一し、事業拠点ごとの安全保安体制の強化を図る新たな業務ライン「組織の整流化」を施行する(=図)。3月7日の原子力規制委員会との意見交換の中で示されたもの。規制委員会は概ね月1回のペースで事業者の経営トップを招き、組織の安全文化醸成に向けた取組を中心に意見交換を行っている。

4月より実施予定の「組織の整流化」(原子力機構発表資料より引用)

 今回、児玉敏雄理事長は、原子力機構の取り組む安全文化醸成活動を、(A)マインドと技術、(B)組織、(C)仕事のやり方、(D)資源の確保――に整理した。その中で、大洗の事故の反省を踏まえた安全文化醸成に向け、担当理事から事業所までの指揮命令系統ラインを明確化し、安全保安体制の強化を図るとともに、部門ごとの予算配分や人事の権限を一本化する考えを示した。
 児玉理事長は、2015年9月の規制委員会との意見交換で、「民間で培った手法を取り込み、職員の先頭に立って安全意識のさらなる向上を」との決意を表明している。これに関連し、伴信彦委員が現在の所感について尋ねると、事業所により燃料の取扱い方法が異なることを例に、「それぞれの文化が根強く残っている」などと、トップマネジメントの困難さを憂慮した。
 また、2017年3月に策定・公表された「施設中長期計画」に基づく廃止施設に関し、田中知委員が「負のレガシーの整理はできているのか」と、職員の認識、資金確保、廃棄物発生・保管量の把握などについて問うと、同機構・田口康副理事長は、廃止措置に関わる人材確保の難しさを第一に強調し、「人材ポリシー」のもと、現在組織大で検討を始めていることを述べた。原子力機構が有する多様な施設の廃止措置について、更田豊志委員長は、「非常に強いリーダーシップを必要とする」として、それぞれ異なる文化・経緯に留意し、今後十分な検討がなされるよう求めた。
 この他、安全研究や解体廃棄物のクリアランス、廃止が決定した材料試験炉「JMTR」の実績に関する質疑応答があった。