経産省、高速炉開発の戦略WGが岡原子力委員長よりヒア

2018年4月26日

 経済産業省の高速炉開発に関する戦略ワーキンググループは4月25日、原子力委員会の岡芳明委員長らを招きヒアリングを行った。経産省、文部科学省、三菱重工業、電気事業連合会、日本原子力研究開発機構がメンバーとなる同ワーキンググループは、「もんじゅ」の廃炉決定を踏まえ、2017年3月より、今後の高速炉開発に向けた「戦略ロードマップ」を年内目途に策定すべく検討を進めている。2016年12月に原子力関係閣僚会議が示した「高速炉開発の方針」に基づき、(1)国内資産の活用、(2)世界最先端の知見の吸収、(3)コスト効率性の追求、(4)責任体制の確立――の「開発4原則」に従い10年程度の開発工程を具体化するもの。
 一方、原子力委員会は24日に、「技術開発・研究開発に対する考え方」とする見解をまとめており、中長期的な市場志向の考えに立ち、「個別発電企業やメーカーが主導し、それら企業の負担も求めつつ、政府が支援する仕組みを導入すべき」などとしている。25日の同ワーキンググループ会合で、岡委員長は、ヨルダンへの研究炉輸出など、海外での躍進が顕著な韓国企業について例示しながら、「行政がすべて決めるのでは国際競争に負けてしまう」と、日本の現状を改めて憂慮した。
 これに対し、電事連原子力開発対策委員長の豊松秀己氏は、原子力発電所の再稼働や六ヶ所再処理工場のしゅん工など、事業者としての現下の課題について触れた上で、高速炉開発については、「商業ベースでの検討はまだ難しい」として、大枠では国が方向性を示すものと述べた。
 また、三菱重工原子力事業部長の加藤顕彦氏は、2007年に原子力機構より高速炉開発のエンジニアリングを担う中核企業として選定されてから、ナトリウム冷却炉の開発に取り組んできた経緯を述べ、引き続き官民連携体制の中で「技術で応えていく」姿勢を示した。
 原子力委員会の見解では、政府の役割について、「民間が原子力発電方式を決定・選択するための支援」となる新しい「補助スキーム」の構築を提言しているが、これに関して、文科省研究開発局の増子宏審議官は「現状ではなかなか難しい」などと述べた。